2007年03月06日

鮫形鐘一郎の「訳文教室」第1回

 というわけで、本日はウォーゲームのルールブックの訳文の話をする。

「翻訳教室じゃないの?」

 いいところに気付いたね、ぽたーじゅ君。最近の翻訳ルールは、例外もあるけど、十分一定の水準に達しているよ。大昔のホ●ージャ●ンの翻訳に比べれば格段に進歩している。特にゲーマーが訳者の場合、どの項目でデザイナーが何を言わんとしているか大体は把握できるしね。

 問題は、それが日本語として分かりにくい、冗長であることが多いということなんだよ。もっと言えば、国産ゲームのルールブックの文章ももっと分かりやすくできるはずなんだ。今のゲーム翻訳者に求められているのは英語力よりも日本語力だと言っていいだろう。

 と、言いつつ、最初に少しだけ英語の話をしておく。私がいくつか見た中で、間違いが目立つものがあったので。

①「require」と「request」
 この二つの単語は似て非なるものだ。前者は「必要とする」後者は「要求する」。混同している人が結構いるのでご注意を。

②「a」
 普段は訳出しなくてもいいが、場合によっては「1ユニット」「1VP」「1ポイント」など明確に「1」と書かないといけないケースがある。これは訳文を見ても分からない場合が多い。

③「more than」「less than」
 この後ろに来る数字を含まない。「more than two」なら「2を上回る」、「less than two」なら「2未満」だ。だいたいはきちんと訳出できているが、日本語としては「3以上」「1以下」と含まれる数字を入れた方が明確になる。ただし、ゲームによっては小数点以下の数字を指す場合があるかもしれないので確認は必要だ。

 では本題に。具体例があると話が早いんだが、余計なトラブルに巻き込まれるのもあほらしいので、勝手ながら西新宿鮫氏が訳した「Clash of Giants 2」「For the People 2006年版」を読みながら進めよう。

 ぽたーじゅ君。この2冊の翻訳と他のルールブック何冊かを比較して読んでごらん。

「はーい。ふむふむ」

 中身を理解しなくてもいい。文章の特徴を比べればいいんだ。何か気付いたことはあるかい。

「うーん。西新宿鮫氏の方が一文が短い」

 ま、そうなんだけど、具体的に気付く違いがないかい?表現で。

「あ!西新宿鮫訳には『~することができる』がまったくと言っていいほどないよ!」

 そうだ。「移動することができる」は「移動できる」で十分だ。場合によっては「移動可能」でもいい。本当にこの「することができる」をなくすだけで、日本のルールブックは10%減量できるんじゃないかと思っている。

 あえて断言しよう。私は「こと」が大嫌いなんだ!はーすっきりした。ただし、このブログはわざと話し言葉に近い感じで書いているので、結構「こと」が登場したりするんだけどね(笑)。

「それと『行う』もあんまり使ってないね」

 これも素直に「××を行う」でなく「××する」で十分だ。他にも
 ・「すべてのユニット」→「全ユニット」<all>
 ・「それぞれのターンで」→「各ターン」<each>
 ・「もし悪天候ならば」→「悪天候の場合」<if>
あたりは基本中の基本だ。語感が悪くなるときはあえて上記のように書いていない場合もあるけどね。単に文章を短くするのが目的ではない、パッと目でスキャンしたときに脳みそに入るスピードが重要なんだ。

 西新宿鮫氏の翻訳は「名文」より「明文」を意識している。文章も可能な限り飛ばさずに訳しているので、デザイナーズノートあたりは回りくどい感じがするけど、まあ気持ちは分かるよ。

 ま、今日はこれぐらいにしておこうか。本当は実際の翻訳ルールを例に色々言いたいんだけどね。「実験台」となる勇気ある人がいれば名乗り出てほしい。

「でもこのブログには連絡先がないよ」

 そのへんは天知る地知るチルチルミチルでね。分かるもんなんだよ。他にもネタはあるから慌てる必要ないしね・・・しかし、あったかくていい季節になって来たねえ。今日もビールがうまいよ。ゴキュゴキュゴキュゴキュ・・・

「一年中うまいと言ってるような気もするけど・・・」
posted by 鮫形鐘一郎 at 02:24| (カテゴリなし) | 更新情報をチェックする

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