2008年01月02日

鮫形鐘一郎の「訳文教室」第2回

 いやー元旦の●辺●里のライブに行ったらさあ、ゲストで●原●之が飛び入りしてきてさあー。

「そんな話はファンサイトかなんかで書き込んでください!」

 お正月なのに何だか冷たいなあ、ぽたーじゅ君。

「はいはい。今日は意外と要望の多い『訳文教室』の2回目をお願いします」

 ああ、これね。やっぱ実例がないといけないと思ったんだけど、なかなか応募がなくてね。結局、GMTのCommands and Colors Ancientsの訳を勝手に使わせていただきます。「誤訳の指摘、改善の提案等をいただければ幸いです」という水池さんの謙虚な記述があったのをいいことに。お気に触るようでしたらおっしゃってくださいね。v1.1を参考にしましたが、改良されていればご容赦のほど。

「ああ、このゲームはお手軽で面白いとの評判ですよ!」

 プレイに支障がある誤訳はないと思うけど、「訳文」教室なので、あえて色々と指摘させていただきます。まず、タイトルの「指揮と軍旗:古代編」について。

「いいんじゃないですか?」

 意味はそのとおり。ただ、あえて言わせていただければ「つまらない」ね。何かプレイしてやるぞと燃えるものがないというか。

「プレイに関係ないから直訳のままにしたんでは?」

 多分そうなんだろうね。ただ、英語と日本語のタイトル文化の違いというか、ニュアンスの違いをどう訳すかを考えるのに興味深い題材なんで、少し掘り下げてみるよ。

 英語の「Commands and Colors」は頭韻と脚韻を踏んでいる。英語の短い文章とか商品名でよくあるパターン。印象に残りやすいからね。略称もC&Cと格好いい。「do or die」とか「Coca−Cola」もそうだ。GMTの最近のヒット作「Combat Commander」も同じだね。

 でも直訳すると「指揮と軍旗」。今ひとつパンチがないね。まあ「き」の脚韻を踏んでいるとも言えるけど。じゃあ、日本語で短いワーディングでインパクトを与える修辞法は何か。典型的なのは「四字熟語」あるいは「四字略語」だ。

「なるほど。『勘定奉行』とか『キムタク』ですね」

 例えが今ひとつだけど、まあいいでしょう。そういうこと。だから翻訳でない日本オリジナルのゲームは四字熟語が多いでしょ。特に戦国もの。コマンド新作の「天下強奪」は今までにない組み合わせで新鮮だね。「幸村外伝」とか聞いただけでプレイしたくなるよね。実際にやってみての感想は別にして。「第3帝国」も直訳ながら名訳。

 日本のゲーマーが勝手に略して通称になっているのも多い。「ドラスタ」「激マン」。「BtoB」はアメリカ的略称だが、「パスグロ」のしっくり感は日本人しか分からない。じゃあ、「Commands and Colors」の言葉にとらわれず、日本語のタイトルを考えてみようか。

「うーん。『コマカラ』ですか?」

 そっちに行ったか。古代戦だけど、武将が主役だから多少戦国っぽい感じでいいんじゃないかな。私は「名将列伝」「英雄戦記」とかでいいんじゃないかと思う。サブタイトルは「ローマVSカルタゴ」でいいでしょ。この後のシリーズが「ギリシアVSペルシャ」「ローマVS蛮族」とかになるし。

「ははあ。なるほど」

 昔の●ビー●ャパンが日本版をつくっていたら絶対に四字熟語にしたと思うね。あるいはもっと露骨に「ハンニバル遠征」とかやってたかも。

 要は訳文になんか違和感があったら、原文を離れて日本語的感性で考えてみるということだよ。例えば、英語には単数形と複数形の違いがある関係で、日本語に訳すと「1つまたは2つ以上の」あるいは「全部または一部の」とかの表現になることがある。これは日本語では冗長な表現になるので、無理に訳すことはない。ただ、そう表記した方が紛れがない場合もあるので一律には言えないけど。そういう感じでチェックしていけば、日本語のルールブックはぐっと分かりやすくなる。

 というわけで、本文は一気に飛ばしてカード訳について。内容はだいたいいいんだけど、カード訳は映画の字幕と同じで時間感覚というかスピード感を持たせないといけないんであえて指摘させていただく。

 例えば「Order Two Units Left」。「左翼2個部隊への命令」なんだけど、カードをビシッと切るときに発する言葉としては長い。もう見出しは「左翼2隊」だけでいい。説明文は書いてあるから。「Coordinate Attack」は「全線1隊」、「Out Flanked」は「両翼2隊」がカードの説明に近いね。

 各兵科のカードは「軽装部隊」「重装部隊」で。「跨乗部隊」は訳語としてブレがないのはいいんだけど、ちょっと一般的な言葉でないかなあ。象さんがいるので素直に「騎乗」とできないのが困る。「騎馬/戦象部隊」で許してくれませんかね。

 リーダーシップのカードは「督戦」にしてみては。「Inspired Left Leadership」なら「左翼督戦」とか。「Clash of Shields」は「白兵戦」、「Darken the Sky」は「射撃戦」。「Counter Attack」はあえて古臭く「邀撃」に。「Mouted Charge」も「騎馬/戦象突撃」かなあ。「rally」は素直に「回復」で。

 ふう・・・あれ?ぽたーじゅ君は何をしているの?

「いつまでうだうだしゃべってるんですか。C&Cのセットアップしときましたよ!シールも全部貼っちゃいましたよ!」

 いやー助かる。このゲームはシール貼りが一番しんどいからねえ。プレイは簡単なんだけど。

「本当は象さん部隊が出てくるのをやりたいけど、素直にシナリオ1のアクラガスの戦いをプレイしましょう・・・あれ?」

 どうした?

「シラクサ軍にいるリーダーのディオニュシオスはあの暴虐非道の王様では?」

 そうだね!太宰治の「走れメロス」の暴君ディオニスのモデルとなった人物と言われているよ。

「ということはメロスやセリヌンティウスもこの戦いに参加しているわけですね!」

 うーん。そういうことになるのかなあ。あの話の流れだと王様と友達になっているから、側近の部隊にいるかもしれないねえ。

「おりゃー走れメロス・・・あれ?あっさり除去されました・・・」

 殺してすいません。

「あんまりいいオチじゃなくて本当にすいません」

******

 よいしょ、よいしょ。向こうは暑いから上着はいらないかな・・・。

「あれ?スーツケースに荷物を詰めてどうしたんですか」

 ちょっと海外に行く用事ができてね。地図で言うとこの辺。

「えー!この国は結構やばいんじゃないですか」

 そうでもないよ。本当はそのお隣の国に行くはずだったんだけど、さすがに危ないので止めになってね。

「うわー!隣の国はいっぱい人がなくなってますよ!テレビで見ましたよ!大丈夫ですか?」

 まあ、1週間もしたら帰るから。そしたら後2回ほど連載して今回は終わりの予定。すまんが留守番よろしくね。
posted by 鮫形鐘一郎 at 04:21| (カテゴリなし) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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