2009年06月16日

作戦研究は誰のために

 「今回のタイトルは早速ウルトラセブンのパクリですか?」

 ああ、プラチク星人ね。特にそういうつもりはなかったんだけど。

 「では今日もお便りから行きます」

 はい、どうぞ。ぽたーじゅ君。

 「楽しくウォーゲームをするには必ず作戦研究をやらないといけないんでしょうか」

 そんなのは個人の自由。将棋だってヘボはヘボなりに、うまい人はうまい人なりに楽しむことができるでしょ。極端なことを言えば、盤と駒を使った回り将棋や山崩しの方が面白いと思えばそっちをやればいい。

 「なるほど。あれ?次は逆だな。作戦研究なんてやらなくてもゲームを楽しめるんじゃないですか」

 典型的なヘボの言いわけだ。きちんと作戦研究をやらない奴は、きちんとルールを覚えてプレイしない。結果的にそのゲームの本質を理解しないまま通り過ぎてしまう。自らの努力不足で、ゲームが本来見せてくれるであろう素晴らしい世界を自分は見てないんじゃないか、感じていないんじゃないか、という恐れを抱かない無神経さを恥じるべきだね。

 「さっきと答えが正反対じゃないですか!」

 分かってないね。私は矛盾したことは言ってないよ。仲間とワイワイ楽しくゲームをするのに作戦研究は必要ないけど、真にそのゲームを理解して楽しむのに作戦研究は不可欠、ということだ。

 「うーん。もう一つ分かりません」

 将棋の話に戻ろうか。将棋盤と駒を使って友達と楽しく遊ぶなら、回り将棋や山崩しでも十分遊べる。ルールを知らない人でもその場で教えてすぐにできるよね。実力が同じくらいならヘボ将棋でも十分楽しい。これが「楽しくゲームをするのに作戦研究はいらない」ということだ。でも、将棋をきちんと指して奥深い世界を知るには定跡を勉強した方がいいし、詰め将棋を解いた方がいいに決まっている。江戸時代からプロが存在する一大知的ゲームなんだ。これが「ゲームを楽しむには作戦研究が不可欠だ」ということ。

 「ははあ。分かってきました」

 またウォーゲームの話に戻ろう。自分ではきちんとプレイをしているつもりでも、ちょっと実力が上の人、作戦研究を重ねた人から見ると、本将棋でなく、回り将棋をプレイしているようなレベルにしか見えないことがあるわけだよ。でも、プレイしている本人は楽しいからそれが分かっていない。周囲の人も、楽しんでいる人に水を差す必要はないからいちいち言わない。当たり前だね。また、どんなにそのゲームに熟練した人のプレイでも、ゲームの神様から見れば回り将棋レベルかもしれない。

 ちょっと話が逸れるけど、昔、亡くなった私の父の高級将棋盤で友達と回り将棋をやって父に目茶目茶怒られたことがあったよ。「子供の遊びに使ったら駒に申し訳ない」とね。その後、普通に将棋を指してても「そんなヘボな将棋をしたら盤に失礼だ」と怒られた。父は地方都市ではそこそこ上位の腕前だったけど、しょせんアマチュアだから、プロからみればヘボ将棋だろうけど。

 「厳しい方だったんですね」

 うん。高級な囲碁盤と碁石もあって、それで五目並べをしてても怒られたからね。これも本来の使い方ではないと言われたよ。

 ただ、父の気持ちも最近は分かるようになってきてね。私の好きなPGGなんかで適当なプレイを見ると、ユニットやマップが泣いているのが見えるんだよね。少なくとも私には。父も将棋盤や碁盤が泣いているように見えたのかもしれない。

 「阪田三吉ですか!ワイの銀が泣いている。ある意味妄想ですね」

 ま、その通りだ。聞き流してくれ。

 話をちょっと戻そうか。将棋は長年先手有利とされてきたけど、日本のプロの試合ではついに2008年度は後手番が勝ち越した。これは後手の作戦研究が進んだからだ。逆に囲碁の方は、昔は4目半コミだったのが5目半になって、最近じゃあ6目半コミだよ。作戦研究が進んだ結果、どんどん先手有利になっている。面白いね。

 別の観点から言うと、ある程度事前に研究した方が、プレイがスムーズに進むんだよ。当たり前だけど。ルール確認で中断されても時間がもったいないし。忙しい社会人プレイヤー同士の対戦ならなおさらだ。自分が勝つためでなく、プレイ速度をあげるためにも作戦研究は必要だという話だね。

 「何かもっとまったりしたプレイスタイルがあってもいいと思いますけど」

 もちろん、それもありだよ。私もPGG以外はまったりプレイして、面白そうだったらさらに研究するというスタイルだしね。

 私が言いたいのは、こういうこと。世の中にはもっとお手軽に楽しめるホビーがいくらでもある。なのにあえて、こんな面倒くさいウォーゲームなんかをやっているわけだ。ルールを覚えるのも大変だし、プレイ時間、場所もきちんと確保しないといけない。だからこそ、やる以上は徹底研究しなければ意味がないと思わないかね、ということだ。本当に楽しいことは、苦しいことや面倒なことの向こう側にしか存在しない。これは、私がウォーゲームから学んだ人生の最大の教訓でもある。

 「うーん。何かウザくなってきたんで別のお便りに行きます。作戦級ゲームで戦線の上手な張り方を教えてください」

 あーあ。またそっちに行くかね。作戦研究と言うとテクニックばかり知りたがる人がいるけど、本当に重要なのは「このゲームは自分が分かっていないだけで、もっと面白くなるんじゃないか、もっとよりよくプレイをする作戦があるんじゃないか」という懐疑心を持つことなんだけどなあ。やっぱ「自分で考えろ」と言っておく。

 「読者のみなさん、すいませんねえ。偏屈な人なんで・・・」

 さて、今回も予定の5回が終了した。最後まで読んでいただき感謝している。読者諸兄にお願いするのは、これまでと同じ。このブログを読んで自分の心に浮かんだ感情、気持ちと素直に向き合ってほしいということだ。それこそが自分の最も望むもの、あこがれるもの、恐れるもの、ねたむもの、忘れていたもの、忘れたいもの、あるいはもっと別の何か、だろうから。それを直視して、一人で掘り下げる作業を続けることこそ、ウォーゲーマーとして、さらに一歩進む道だと信じている。

**********

 ところで、何で作戦級ゲーム一般で戦線を張る必要があるのか説明できるかい、ぽたーじゅ君。

 「それは・・・ユニットがやられちゃうからですよ」

 もっと具体的に。何でユニットがやられるのか。

 「包囲されてしまうからです」

 包囲されると何で駄目なんだ。

 「えーと。だいたいの作戦級ゲームは敵ZOCにしか退却できないとユニットが除去されてしまうからです」

 まだ不十分だけど、概ねそういうことだね。逆に言えば、ユニットがやられないなら戦線を張る必要はない、ということだね。意外とこれを分かってなくて、どんなゲームでも無意味に戦線を張ろうとする人がいるよね。でもって「どうやっても守れない」とか悩んだりしてね。

 「そういう悩めるゲーマーを救ってほしいんですよ!実は僕もそうなんですけど・・・」

 じゃあ、次の連載はそれをやろうか。

 「ええ!やるときはあっさりとやる気になりますね」

 まあね。いつになるかは分からないけど、次の連載では必ずやるから。

 「というわけで、次回は『作戦級・超初心者入門』です」

 予告だけですまんね・・・では恒例のエンディング演奏を。今日はアコースティックギターで。

 「ええっ?恒例になったんですか?」

 では早速リンク切れだったら失礼。

 「ああ!僕もつま恋では感動しましたよ!」

 うーむ。君もウサギのくせにいろんなとこに行っているね・・・。それでは読者諸兄、次にお会いする日までごきげんよう。

 「またねー」
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2009年06月15日

鮫形鐘一郎の「訳文教室」第3回

 この年齢になってようやく気付いたことがあるんだよ、ぽたーじゅ君。これを見てくれ。

 「ああ、積読状態だったウルトラセブンシリーズのDVDですね」

 最近、ちょっと時間があったんで、好きなエピソードだけ見ようと思ってね。

 「鮫形さんが好きなのは何星人ですか」

 メトロン星人とペロリンガ星人だね。断然。

 「渋いとこ突きますね。しかも両方とも同じ監督」

 そうなんだよ!いずれも故・実相寺昭雄監督が撮ってるんだよ!偶然気付いてびっくりしたね。それで、DVDの箱裏を見て確認したら、実相寺作品は怪獣が出てこない「第四惑星の悪夢」も入れて3つだけなんだよ。

 「つまり、言いたいことは・・・」

 私は実相寺昭雄ファンだったんだよ!いやー、何で子供のころからこの2星人が好きなのかようやく分かった気がする。

 「鮫形さんが昔から趣味が変わっているのは分かりました。でも実相寺作品と言えば、欠番になった某星人の話もそうですね」

 え、そうなの?君はウサギのくせに昔の特撮ものに詳しいね。

 「鮫形さんが仕事をしてるときにDVDやら蔵書を勝手に見てるだけでして・・・ところで、この前振りだと、今回はウォーゲームのデザイナー論ですか」

 一瞬そう思ったんだけどね。でも、特にネタを思いつかなかったので恒例の訳文教室をやるよ。

 「なーんだ。ただの雑談でしたね。で、今回のテーマは」

 プレイ気分を盛り上げるためのルールブック序文の訳し方をやろう。

 「あのー、一番訳さなくてもいい部分なんでは。よく(略)とかになってませんか」

 ま、そうなんだけどね。いろいろ細かいコツが分かると思ってさ。鮫形流の意訳とか、外国の人名・地名表記とかね。

 というわけで名作パスグロの序文から。第一次世界大戦に欧州諸国が雪崩れ込む場面だ。

1.0 Introduction
On June 28, 1914, Archduke Franz Ferdinand, heir to the
Habsburg crowns of Austria and Hungary, was assassinated by
Serb nationalists in Sarajevo, then the capital of Austrian controlled
Bosnia-Herzogovina.

1.0 はじめに
 1914年6月28日。当時オーストリア・ハンガリーの支配下にあったボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボで、ハプスブルク家の皇太子フランツ・フェルディナント大公が、セルビア人民族主義者に銃で撃たれ暗殺された。

※(鮫形注)外国語の日本語表記に完全な正解はない。私はできるだけ原音に忠実にしつつも平易で、聞き慣れた言葉にすべきだと思っている。「サライェヴォ」と書くのは何か気持ち悪い。「フェルディナント」の最後はドイツ語発音で濁らない方が良いと思う。趣味の問題だが、自分の中では一貫性を保たないといけない。国名は「オーストリア・ハンガリー帝国」「セルビア王国」としてもいいが、これも平易さ重視で省略した。あえて原文にない「銃で撃たれ」と書き込んだのは後で説明する。皇太子でなく「皇位継承者」が厳密との説もあるが、これも皇太子が一般的なのでそれに従った。

The murder of Franz Ferdinand provided
an excuse for the Austrian Army’s chief of staff, Conrad
von Hotzendorff, to “settle accounts” with the upstart Serbs, and
on July 23 Austria presented Serbia with an ultimatum with a
48-hour time limit.

 皇太子暗殺はオーストリアのコンラート・フォン・ヘッツェンドルフ陸軍参謀総長に格好の口実を与えた。独立したばかりのセルビアに「落とし前を付けさせる」ため、オーストリアは6月23日、10カ条からなる最後通牒を突き付け48時間以内の回答を求めた。

※(鮫形注)「参謀総長のコンラート」としてもいいが、人物は基本的に肩書き呼称に。宣戦布告でなく最後通牒なので「10か条」を入れておいた。事実上の宣戦だが、回答を100%のめば戦争を回避できるので。このときもセルビアは8か条は同意する意思があった。

The Serbs appealed to their traditional protector,
Russia, for help.

 セルビアは汎スラブ主義の盟主ロシアに救いの手を求めた。

※(鮫形注)traditional protectorを史実に即した表現に変えた。「汎スラブ主義陣営」の方がいいかも。

When Russia mobilized, Germany,
Austria’s ally, declared war on Russia on August 1.

 ロシアが動員を開始すると、オーストリアの同盟国であるドイツは8月1日、ロシアに宣戦布告した。

Having no
plans for a war against Russia alone, Germany soon declared
war on Russia’s ally, France, and demanded that the neutral Belgian
government allow German troops passage through Belgium
in order to execute the infamous Schlieffen Plan.

 ロシアとの単独戦争を想定していなかったドイツは、間を置かずロシアの同盟国のフランスにも宣戦。悪名高いシュリーフェンプランを実行に移すため、中立国のベルギー政府にドイツ軍部隊の通行許可を要請した。

This demand
was refused, and the invasion of Belgium brought Britain into
the war against Germany on August 4.

 この要求は拒絶され、ドイツはベルギーに侵攻。対抗してイギリスも8月4日、ドイツに宣戦布告した。

In little more than a month,
the murder at Sarejevo had led to the First World War.

 わずか1カ月余りで、サラエボの一発の銃弾が第一次世界大戦を引き起こしたのだ。

 「サラエボでの暗殺が第一次世界大戦につながった」と書くより、「銃弾」という小さなものから「世界大戦」というコントラストを付けたかったんだよね。原作の改ざんと批判を受けるかもしれないが、これが鮫形流だ。

 「ははあ。夏目漱石がI love youを『月がきれいですね』と訳したのに通じますね」

 うーん。ちょっと違うような気もするけど。そのまま訳しただけでは気分が盛り上がらないということだよ。盛り上げるマインドがないなら(略)だね。

 次は「積み木のバルジ」の特別ルールの方に行ってみよう。

11.0 Introduction
Once more, we find ourselves in the Ardennes Forest in the
month of December, 1944.

 11.0はじめに

 気付いたら、われわれはまた1944年12月のアルデンヌの森に立っていた。

How many times have the veteran
wargamers among us fought this particular battle over a game
board?

 仲間のベテランウォーゲーマーたちが、何度この特別な戦闘を盤上で戦ってきただろうか。

Yet for many of us, we keep coming back to that dark
and cold, heavily wooded battlefield.

 それでもわれわれの多くは、この暗く冷たい、深い木々に覆われた戦場を訪ね続けている。

It was an epic battle of
desperation, for the Germans it was desperation from a
strategic standpoint, and for the Americans it was desperation
from an operational standpoint.

 バルジの戦いは両軍にとって望みの薄い、最後の悪あがきとも言える戦闘だった。ドイツ軍にとっては戦略的見地から悪あがきの戦いであり、アメリカ軍にとっては作戦的見地から悪あがきの戦いだった。

※(鮫形注)desperationは「絶望的」「破れかぶれ」という一般的訳語もあるが、チェス用語では、劣勢な側が多少無謀でも最後に頑張って反撃することを指す。苦し紛れの手段。「悪あがき」としてみたが、もっと気の利いた言葉があるかも。

The soldiers of both sides
fought hard, because to them the end was not yet decided.

 それでも前線の両軍兵士は激しく戦った。なぜなら、彼らはこれが最後の戦いだと決められなかったからだ。

※(鮫形注)ドイツの敗北が決定的となった中で、ドイツは勝ってもあまり意味のない、しかも勝つ可能性の高くない賭けに出た。アメリカ軍も、ここで無理に出血して踏みとどまらなくても戦争に負けることはなかった。そういうバルジの戦いの特徴を冷静に分析しつつも、そこに意義を見出そうとするバルジファンの気持ちが伝わってくる。

To the new player of historical simulations, welcome to an
exciting and challenging gaming experience, where as the
Commander in the Field you will try to better the historical
result of your Armies.

 歴史シミュレーションゲームを初めてプレイする方へ。知的な興奮と挑戦を体験できる世界へようこそ。この戦場の指揮官として、史実以上の善戦を目指すのがあなたの任務だ。

※(鮫形注)そして思い出したように初心者に向けた言葉(笑)。

Historical simulations are at their
absolute best when you use them as “Paper Time Machines”
(Redmond A. Simonsen . R.I.P.).

 優れたシミュレーションゲームはこう呼ばれることもある。「紙製のタイムマシン」(故レドモンド・A・サイモンセン氏の言葉。氏のご冥福を心からお祈りいたします)

※(鮫形注)「タイムマシン」を最後に出すためやや原文から変えた。一瞬初心者に顔を向けたかと思ったら、最後は初心者の知らないサイモンセンを追悼するのもベテランウォーゲーマーの性が出てていいね。

 こんな感じかな。細かいところで文句がある方も多いだろうがご容赦を。「気付いたらまた暗い森に立っていた」という部分が、ウォーゲーマーの業、特にバルジ好きゲーマーの業を感じさせていいよね。「またバルジゲームをつくっちまった」というところね。

*****

 「ところで鮫形さん。セブンじゃなくてウルトラマンの方で好きな怪獣は?」

 ジャミラとシーボーズだね・・・え?ひょっとして?

 「いずれも実相寺作品ですよ」

 何と!やはり監督は重要だねえ。私はウルトラシリーズが好きなんじゃなくて、実相寺監督が好きだったのかなあ。

 「ですから次は是非ともウォーゲームのデザイナー論をやってくださいよ」

 あれ?ウルトラマンのDVDの箱を見たら、スカイドンやガヴァドンも実相寺作品だよ!これも好きなんだよなあ

 「全然僕の話を聞いてないですね」

 ああウォーゲームのデザイナー論ね。考えておくよ。ところで、ウルトラマンの各エピソードのタイトルは短くてパンチが効いているよね。ウォーゲームの新作も「ドライブ・オン」とか「激闘」とかマンネリ表現をやめて見習うべきだと思うね。

 「例えばどんなんですか」

 独ソ戦なら「侵略者を撃て」。ノルマンディーなら「来たのは誰だ」とかね。どっちかというとリプレイ記事の見出しっぽいかな。

 「バルタン星人とケロニア!相変わらずパクリばっかりですよ!」
posted by 鮫形鐘一郎 at 01:00| (カテゴリなし) | 更新情報をチェックする

2009年06月14日

確率は涙を信じない

 「宝くじ、競馬と続くと、やはり勘違いした読者が多数いまして」

 まあ分かるよ、ぽたーじゅ君。何かギャンブル講座みたいになってきたね。ただ、あくまでもウォーゲームをよりよくプレイするための頭の体操でやっているだけだからね。お便り読んでちょうだい。

 「麻雀の必勝法はありますか」

 ああ、それは簡単。あるよ。

 「ええ!あっさり答えましたね!」

 将棋や囲碁は実力の違いがほとんどストレートに勝敗に直結する。麻雀は短期的な勝敗は運に左右されるけど、長期的に見れば、やはり実力がある人が勝つ。したがって「自分より強い人とやらない」。これが完璧な答えだ。

 「えーと。やはりそれでは読者が納得しないと思うんですが・・・」

 そうかな。分かる人には分かると思うけどね。私もこの言葉の真の意味が分かるまで10年以上かかった。よく考えてごらん、ぽたーじゅ君。ある人の雀力が自分より上かどうか知るにはどうすればいいかね。

 「そりゃ何回か一緒に卓を囲めば分かりますよ」

 残念ながら、それでは駄目だ。対戦しなくても自分が相手より強いと分からないといけない。卓を囲んで負けてから、この人は強いなあと気づいているようでは既に1回は負けてるから必勝法じゃないでしょ。

 「うーん。でも対戦せずにどうやったら分かりますかね」

 麻雀の強い人ほど、やる前に相手がどれくらいの力量かを正確に見抜いている。間違いなく。だから、麻雀に強くなれば、相手が強いかどうか直感的に分かるよ。

 「分かって言ってると思いますが、質問と回答がひっくり返ってます」

 ワハハ。ちょっと違った観点の話をしようか。世の中には結構「無敗の男」がいるんだよ。そういう人はベースの実力があるだけでなく、自分より強い人とやるのを極力控えている。私が知っている無敗の男は、とにかく腰が低い人だ。「好きなわりに腕の方は大したことなくて」とか言って近づいてくる。相手の実力が上と見れば「あなたみたいな強い方とやってもかないません」と逃げる。相手が弱いと見れば「あなたみたいな強い方と一度お手合わせ願いたくて」と平気で言う。対戦してみて相手が意外に強豪だったら、平気で用事を思い出したふりをして席を立つ。

 初めて対戦する相手なら、自分より弱い面子を連れてくる。万が一相手が強ければ、負けるやつを一人つくっておいて自分はトントンにするんだよ。

 「そこまでして勝ちたいですかねえ」

 結局最後はそこに行き着くね。やはり勝ちたい気持ちが強い人が最後は勝つよ。でも、そういう人が真の実力者でないことも、世間の多くの「無敗の男」は分かっている。だから世間的無敗の男は決して自分の強さは自慢しない。謙虚だからではないんだ。その方が勝ち続けられるからだ。腕自慢は例外なくヘボだ。そのレベルを突き抜けたプロのレベルになると、また話は違うけどね。

 ウォーゲームの場合は、そこまでして勝とうと思う人は基本的にいないでしょ。極端なことを言えば、イカサマやごまかしをやろうとすればいくらでもできるから。それでも、セットアップ時の駒さばきでだいたいの実力は分かってしまうよね。特にユニットもヘクスも小さめの昔のゲームだと、明らかに慣れた人とそうでない人が一目瞭然だ。多分、麻雀の強い人も、牌さばきでだいたい分かるでしょ。少し慣れた人なら片手で配牌から理牌までやってしまうし。逆に下手に見せるためにわざと利き手でない方を使ったりする人もいる。

 「すいませんが、もっと読者のためになるアドバイスを・・・」

 では鮫形流の「低レベル必勝法」を伝授しよう。それほどうまくない人の集まりなら「ツキだけで打つ」のが意外とトータルで勝率高いよ。実力のほぼ同じ4人が運任せの打ち方すると、点棒の動きは平たくなる。確率は万人に平等だからね。相手が運任せでこちらも運任せなら勝ち負けは五分五分になるのに、相手のツキの勢いにのまれて後ろに下がると、その人が負ける。ツキだけで打てばいいのに、下手な考えを起こして自滅するわけだ。

 でもちょっと実力が上の人とやった場合、運任せではトータルで必ず負ける。相手の勢いをかわして封じて逆手に取るのは、そんなに難しい技術じゃないからね。だから、そういう実力者とはやらない。明解な結論だね。

 「次行きます。海外のカジノに遊びに行くので、ルーレットの必勝法を教えてください」

 これも確率論的には必勝法はない。ただ、ちょっと検討する価値はウォーゲームとの絡みで少しあるんでやってみようか。これも基本的には丁半バクチだ。簡単に赤が出るか黒が出るかを予想する場合を考えよう。とりあえず0とか00は考慮に入れない。赤と黒の出る確率はともに2分の1という前提で考えてみよう。

 では質問。赤が連続して5回出る確率は。

 「2×2×2×2×2=32だから32分の1ですね」

 その通り。では赤が5回連続した後、次に赤が出る確率は。

 「2分の1です」

 さすが。この程度では引っかからないね。でも赤が6回連続して出る確率は64分の1なんだ。ここが面白いところだ。

 よくツキの流れの話をするときに、「ガラスビンの中に入れた赤玉と白玉の話」をすることがあるよね。ビンに赤球と白球を均等に入れて激しく振っても、均等に混ざるわけではなく、赤や白が固まって筋のようになったり、島のようになったりするという話。ルーレットの赤か黒の一方が連続で出ても、そんなに長くは続かないと。

 具体的に言おうか。しばらくは赤でも黒でも好きな方に最低額を賭ける。しばらく見ていて、赤か黒が連続4回か5回出たら、しばらく出てなかった方の色にゴッソリ賭ける。しょうもないけど、意外と勝てる。

 「何かつまんない作戦ですね」

 そうだね。正確に言うと、これは「必勝法」というより「少ない資金で比較的長く遊ぶ方法」かな。ルーレットは還元率が高いんで、意外と勝てるときは勝てるんだけど、1回の勝負が短いから、結局は回数が多くなって胴元が儲かるようにできている。勘違いしないで楽しんでくれたまえ。

**********

 というわけで私はまた、PGGのソリティアの続きを。おお、ちょうどいい局面だから見たまえ、ぽたーじゅ君。今、ドイツ軍が1:1のオーバーランを3回連続で失敗したところだ。3回連続してダイスが6だった。

 「ははあ。ルーレットで言えば赤が続いたので、そろそろ黒が出そうだと」

 そう。確率は不変だけど、潮目は変わりそうな感じでしょ。というわけで、戦闘フェイズでは一気にスモレンスクを1:2で攻撃する。

 「ええー!やめたほうがいいんじゃないですか!」

 大丈夫、大丈夫。では振るよ・・・あれー?

 「AEです」

 おっかしーなー。ていうか、ゲーム開始からずっとドイツ軍は目が悪すぎるんだよ。

 「なるほど。ゲーム前半にダイスの調子が悪いときは、後半は良くなるだろうと思ってちょっと無理攻めしてみる作戦ですね」

 そうそう。後半もダイスの調子が悪かったら、今日は何やっても駄目だとあきらめられるでしょ。

 「でも、ゲーム前半の作戦そのものが間違ってたという可能性はないでしょうか」

 ギクリ。なかなか鋭い指摘だね。こういうときはビールでも飲んで忘れよう。ゴキュゴキュゴキュ・・・プハー。ウマイ。うんうん。冷えたビールは決して俺を裏切らない・・・。

 「何を涙目になってるんですか!」
posted by 鮫形鐘一郎 at 00:57| (カテゴリなし) | 更新情報をチェックする

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