2010年12月31日

天岩戸の中で踊れ、歌え

 「あれ?今日はいきなりアコースティックギターですか。しかも普通の銀縁メガネにテンガロンハット・・・」

♪PGGにすっかりタマシイ~抜かれてさ
 それからオイラ、ウォーゲーマー~

 「あ!NHKラジオで日曜朝にやっているマニアックな番組の主題歌の替え歌ですね」

 そうそう。私の年代よりもう一回り上の人が対象だけど、知らない話が毎回出てきて面白いよ。ゲーム雑誌でもああいう連載をオールドゲーマーにやってもらいたいね。

 「あの頃のゲームがプレイしたい、ですね」

 まさにそうだね。昔のウォーゲームとフォークギターの共通点は、シンプルなんだけど、ものすごく奥が深いところだね。簡単そうに見えてきちんとプレイするのは難しい。そして、感動がストレートに伝わってくる。

 「ヘビメタよりフォークの方がはるかに速いピッキングだったりしますもんね」

 カーターファミリー奏法をみんなできたのと同じくらい、昔のゲーマーはソークオフ戦術とかできたしね。

 「いいですねえ。ワイルドフラワー。まさにアバロンクラシックをプレイするみたいな指さばき、駒さばき。去年の椛の湖フォークジャンボリーも良かったですね」

 うーん。相変わらずウサギのくせにどういうわけか、あちこち行っているね。

 「そう言えば鮫形さんは普通のメガネだと、な●ら●壱に似てますね」

 ・・・そろそろお便りよろしく。

 「あ、サングラスに戻しちゃった・・・えーと、鮫形さんの若いころの話を聞かせてください、とのお便りです」

 これはゲーマーとしての私の若いころ、というか子供時代の話をしてくれっていうことでいいかな。

 「多分。最初に買ったウォーゲームは何ですか」

 タクテクスⅡだね。当時私は小学校4年生だった。確か2400円。プラモデル作りが好きで、●ビー●ャパンを毎月購入してて、そこに広告が掲載されてたウォーゲームの方に興味が移った。まあ、当時ではよくあるパターン。

 ゲームは大好きでね。私の周囲も含め。そして、まだファミコンやパソコンゲームのない時代。ゲームセンターみたいなところにはあったけどね。家庭用テレビゲーム機って画面でドットを打ち合うテニスゲームもどきぐらいしかなかった。

 ポケットメイトとかスクールパンチみたいなお手軽ゲームも友達と数え切れないぐらいやったよ。将棋や囲碁もやった。当時の小学校の将棋大会で私は2位になってね。1位は県大会3位になった奴。多分、今の私では当時の自分に勝てない。

 じゃあゲームばっかりやっていたのかというと、草野球はやっていたし、山にくるみを拾いに行ったりしたし、本屋で何時間も立ち読みもしてたし、テレビも見ていたし、かと言って勉強をさぼっていたわけでもないし・・・今思うと子供時代って、潤沢に時間があったねえ。

 でも小学校を卒業するころには普通のゲームは完全に飽きた。そしてゲームの東の横綱は麻雀で、西の横綱はモノポリーという結論に至った。これは大人になった今でもそう思う。

 結局ウォーゲームは子供時代には、面白いかどうか結論が出なかったんだよ。ルールを完璧に把握してプレイするのも困難だし、対戦相手を見つけるのも一苦労。ゲーム好きな友達にも色々インストしたけど、ダメだったね。

 例外的にマルチプレイは高校や中学の友人とよくやったね。今でも同窓会で会うと「ディプロマシーはもう1回やってみたい」と言う奴もいるよ。マルチプレイの横綱ゲームと言っていいだろうね。

 「どうやって対戦相手を見つけていたんですか」

 隣県のゲームサークルに2カ月に1回ぐらい行っていたよ。でも、私の住んでいたのは本当に田舎で、移動だけで4時間ぐらい必要でね。でも、それだけ苦労して行くと、心の底から楽しくてね。今思うと、たいしたゲームをプレイしてないんだけど。

 今でも覚えているのは、その隣県のゲーム会に行った日は、まったく食事をしなかったことね。ゲームに夢中になって食欲がどこかに行ってしまうんだ。まったく腹が減らない。水も飲んでなかったかも。ああいう経験はもうできないね。子供にはウォーゲームは劇薬かもしれんね。

 いつだったか、ひどい風邪を引いて出かけたのに、ゲーム会が終わって帰ったら治っていた。というか、治ったことに翌日気付いた。風邪を引いたことすら忘れてゲームに没頭したんだよ。今はそこまでできないなあ。

 「当時中学生でしょ。往復4時間もかけて行くのは・・・」

 違うよ。片道4時間だ。往復8時間かけて行っていたんだよ。

 「ええっ!完全に●チ●イですよ!」

 その通りだ。でもね、それを遠いと思ったことは一度もなかったよ。道中、ルールブックを読んだり、作戦を考えたり。退屈をした記憶がなかった。ユーミンが昔、中央線を経て四谷から六本木まで歩いていたとき、考えることがいっぱいでまったく遠いと思わなかったと回想していたのと同じ。あのゲーム会が私にとってのキャンティだったかもしれない。

 「もしもーし。思い出が時代を経て、かなり美化されてるようですけど・・・」

 まあ、そうかもね。いずれにせよ、そのころだよ。私が「死ぬまで退屈しない自信」を持ち始めたのはね。そして、そんなバカなことばかりしていた私のわがままを許してくれた両親に心から感謝したい。

 「そして、高校時代に妹の勝代さんにPGGでコテンパンにやられると」

 何でそんなこと知っているんだ!

 「この前、勝代さんから聞きました。鮫形さんが勝代さんを避けているのは、PGGで勝てなくなったからじゃないかって」

 それは違うぞ。断じて違う。

 「はいはい、分かりました。要するに、勝代さんは昔から優秀だったんですよね。駄目な兄から見ればねたましいのはもっともですねえ」

 違うっていったら、違うんだ!

 「そうですか、そうですか。それで、大学生になってから本格的にプレイに没頭したんですよね。ウォーゲーマーとして実績を積んだのはあのころ言ってましたもんね」

 そうなんだけど、ゲーム業界に絡む話も色々あってね。話しにくいこともあるんで、今日はここまでにさせてもらうよ。

 「そういうのこそ読者は聞きたがっているような気もしますが・・・。では恒例のお便り。ウォーゲーマーの数を増やすにはどうしたらいいですか」

 これまた何度も言っているけど、自分が残りの人生でどれだけゲームをできるかの方を悩め。

 「増えるのに反対ですか?」

 いや。反対する理由はないよ。増えるのは悪いことじゃない。

 「秘策があるかと」

 しょうがないね。こういうときは古典に学ぶのが一番だ。

 「アバロンクラシックですか・・・おや、それは古事記ですね」

 そう。天照大神が天岩戸に隠れてしまったとき、どうやって岩戸を開けさせたか知ってるね。

 「外でお祭り騒ぎをやったところ、その物音が気になった天照が岩戸を開けて、という話ですよね」

 ざっくり言うと、そういうことだ。つまりウォーゲーマーが面白くプレイしているところを、ウォーゲーマーでない人に見せてあげるのが一番いいんだよ。

 ただ現状は、残念ながら、規模から言って、われわれの方が少数派だ。ウォーゲーマーが岩戸に入っていて、世の人が外にいるという構図。だからちょっと岩戸の隙間を開けておいて、中で面白そうなことをやっているなあと思わせる「逆天岩戸」戦略が基本となる。

 じゃあ、具体的な作戦はどうするか。一番影響を与えるのは雑誌や広告だろうね。私もホビージャパンのゲームの広告を見てこの世界に入ったし。インターネット時代になって、各ゲーマーが簡単にブログを書けるようになったのも大きい。

 ゲームのリプレイや作戦研究を載せて「何か面白そうだ」と思う人がいれば、数は少ないかもしれないが、門をたたく可能性はあるよね。「どうしたらウォーゲーマーが増えるか」「若い人が来なくてどうしよう」なんて言っているようでは、若い人が来るとは思えない。というか逆効果だね。

 「うーん。そんなにたいした作戦ではありませんね」

 そうだね。繰り返しになるけど、仮にウォーゲームブームが再来しても、しょせんすぐに去ってしまうよ。私は、そんなにわかファンは来てほしくない。伝統芸能としてのウォーゲームに価値を見出せる人に来てもらいたい。

 「でも、そういう人が来るためには、まずは質より量みたいな話で、ブームが起きて大勢の人がウォーゲームに触れなければいけないんでは」

 一般論、確率論としてはその通り。でも、私はそうは思わない。来る奴は来る、来ない奴は来ない、なんじゃないかな。

 結論はいつもと同じ。「自分自身が心底楽しいと思ってプレイすること」だ。若い奴がやろうがやるまいが関係ないと。こんなに面白いものはないんだと思ってプレイしていた方が、「そんなに面白いのかなあ」と興味を持ってくれる人が増えるよ。

 私は特に、忙しい大人にプレイしてもらいたい。暇な大人がやっていても全然共感を呼ばないからね。あんな忙しい人が、それでも時間をつくってプレイしているってことは面白いんじゃないか、と思ってくれそうだから。

 「それは、暇な大人のウォーゲーマーに対して失礼ではありませんか」

 そういうつもりはないが、気を悪くする人がいたらすまん。俺も暇になってウォーゲームを存分にやりたいよ。

 「それが何か嫌味じゃないですか」

 そうかね。じゃあ、何もかも捨ててゲームに没入する勇気のない野郎だと嘲笑してくれて構わない。

 ま、私もせいぜい、こんなブログに駄文を書くという形で、天岩戸の中の踊りに参加させてもらうよ。

*****

 やっぱり、出て行くのかい。

 「色々考えた上で決めました。いつまでもお世話にはなれないです。腹ペコで神田川の橋の下で拾われた御恩は一生忘れません」

 そうか・・・。君がいなくなったら、このブログも終わりだね。

 「それは違いますよ!代わりに鮫形さんの相手を務めてくれる人がいますから」

 ん?ウサギじゃなくて人?

 「勝代さんですよ。僕からもお願いしておきました」

 えー!それはちょっと・・・。

 「鮫形さんが元気な限り、やめてもらっては困ります」

 うん。まあ、考えさせてもらうよ・・・。

 「特に、前回やると約束した初心者教室は必ずやってください」

 よく覚えているね。ちょっと考えたんだけど、あれって面倒くさいんだよ。

 「お願いします」

 ん。心に留め置くよ・・・ところで行くあてはあるのかい。

 「この広い世の中、ウサギ一匹くらい生きていく場所はどこかにあるでしょう。とりあえず西に向かいます」

 西?何でまた。

 「瀬戸内海の小島に、ウサギだけが住む楽園があると聞きました。そこを目指します」

 あー大久野島ね!でも広島県だからメチャクチャ遠いよ。大丈夫かい。

 「たどり着けなければ、それまでの話」

 いやいや、そういうわけにはいかんよ。よし、島まで連れて行ってあげよう。そこでお別れだ。

 「本当に最後までお世話になり・・・ずびばぜん・・・うぇーん」

 何も泣くことはないよ。今まで色々なゲームに付き合ってくれてありがとうな。

*****

 読者のために解説を。瀬戸内海に浮かぶ大久野島は広島県竹原市の忠美港からフェリーで約12分。宿泊施設(国民休暇村)で働く職員はいるが、基本的に住民はいない。約300匹のウサギだけが住む島だ。

 島には太平洋戦争中に毒ガス製造工場が置かれ、実験動物としてウサギが飼われた歴史がある。今いるウサギの祖先ではないようだがね。毒ガス資料館なんてのもある。

 島でPGGの箱を見て駆け寄ってくる白いウサギがいれば、それがぽたーじゅ君だ。私も彼がいなくなって心に穴が空いた気分だが、ブログは続けたいと思っている。勝代とやるかどうかは別にしてね。では、また会う日までごきげんよう。
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2010年12月26日

鮫形鐘一郎の「訳文教室」第4回

 むぐっ。痛い痛い!

 「もうちょっと弱めますか?」

 いやいや効いている証拠だから・・・。しかし、ぽたーじゅ君の指圧も上達してきたねえ。ウサギでもツボを覚えてくると・・・ぐはっ。

 「背中のこの辺が一番こってます」

 痛い痛い・・・ありがとう。今日はこの辺でいいよ。●リ●ムの新アルバムでも聞こうか。

 「はい。アマゾンから届いたCDをセットしますよ・・・ところで鮫形さんのオーディオの趣味が最近変わってきた気がしますけど」

 ほう。どんな風に。

 「昔は日本語表示のあるデッキやリモコンは絶対買わなかったけど、最近はそうでもない」

 なかなか鋭いね。私としては性能重視で選んできたかつもりだけど。英語表示の日本の某社の製品がイマイチになってきたことの方が大きいけどね。

 「ウォーゲームでも日本版がダサいと感じる人がいますね」

 まあ、その気持ちも少しは分かる。面白さ重視とは言え、コンポーネントも重要。いわゆる「舶来信仰」も趣味なんだからいいじゃないの。日本版になってプレイしやすくなったのは多いよ。残念ながら逆もあるけどね・・・。私はそれほどこだわらない。

 「ではお便りに行きます。鮫形さんが次世代ウォーゲームに期待する国は」

 そりゃ断然中国だね。台湾や香港でなく、中国本土に期待したいね。政治、社会の情勢を考えると、ちょっと先の話になるかもしれないけど。欧米人にない、そして日本人にもない発想で独自のゲームシステムがつくられるんじゃないかと期待しているよ。何と言っても世界最高の面白ゲーム、麻雀を発明した民族だからね。

 中国人がつくった本格的な三国志ゲームをやってみたいね。コンポーネントも筆でねカードも「連環計」「瞞天過海」とか掛け軸みたいなので書いてあると面白いよ。前にも書いたけど、四字熟語でインパクトがあるゲームのタイトルや、カードの方が、日本人には親しみやすい気がする。

 「次行きます。海外からゲームを輸入したいんですが、英語が全然できなくて」

 インターネットのショップで買うなら必要事項をページに入力するだけで簡単に買えるような気がするけど。

 「何かトラブルがあった場合、英語でやりとりするのは面倒ではないかと。eBayにも欲しいゲームはいっぱいあるんですが、本当に英語アレルギーでして」

 まあ、確かに私も似たような経験はあるけど。頼んだものが送られなかったり、2個送られてきたりとかね。

 eBayでは日本語でやりとりできる「セカイモン」ができたから、これを使う手もあるね。手数料が取られるのがあほらしいから英語がちょっとできる人は有用性を感じないかも。ただ、返金保証があるからね。私も高額商品を買うときは利用するし。

 「おお!これは助かりますね。日本のヤフオクでは高価なゲームが格安だったりしますよ!」

 ゲームより送料の方が高いことがあるから注意してね。それでも欲しいゲームなら利用する価値ありだと思う。

 「登録も簡単だし、これはいいですね!」

 ・・・ぽたーじゅ君。前から疑問に思っていたけど、お便りと称して君自身が質問したりしてないかい。

 「ギクリ。問題意識が共通な方のお便りを優先して紹介しているのは事実でございますが、決してそのようなことは・・・」

 ございますとか普段言わないでしょ。まあ別にどっちでもいいけど。

 「えー、では、そろそろ訳文教室らしい質問を」

 どうぞ。

 「A Victory Lostというゲームが出ましたが、A Lost Victoryと言った場合との違いは何でしょうか」

 ああ、激マンの英語版ね。文法的には、過去分詞の前置修飾と後置修飾の違い。後置修飾だと普通は過去分詞の後にby~とか文節が付いて長くなる場合が多い。まあ、この場合はどっちも意味として「失われた勝利」でいいんじゃないの。

 「そんな無責任なんでいいんですか」

 私は実務翻訳業者だからね。英文法学者じゃない。と逃げを打っておいて、ちょっと説明しようか。

 分詞が名詞の前と後のどちらにも置ける場合、微妙にニュアンスが違うんだよね。ざっくり言うと、前置修飾は「恒久的」で、後置修飾は「一時的」な感じ。

 よく例に出されるのが、a used car(中古車)とa car used(今使っている、使われている車)

 中古車は新車じゃなくなってからずっと中古車だ。今使っている車は、そのときに使用状態にある車ね。だからしばらくしたら使用されない状態になる。これが「一時的」だ。

 「ちょっとウサギには難しいです」

 すまん。これ以上説明しても面白くなりそうにないんでやめよう。ゲームのタイトルに即して考えようか。MMP社は、この後 A Victory Deniedというスモレンスク戦を出したね。つまり「A Victory」シリーズというチット式の一連のゲームにするんだろうね。

 日本の場合は、「激闘!グデーリアン装甲軍」という邦題が付いたから、「激闘!」シリーズにするんでしょう。

 GMTではボリスが「Roads to」シリーズをやるようだし。かつては「Drive on」も流行った。

 「日本のテレビドラマでも山口百恵の赤いシリーズがありましたね」

 相変わらずウサギのくせに古いのを知っているね。この手のシリーズものは販売戦略的な意味合いが強い。一つ当たると、同じシリーズはあんまり中身を吟味せずに買う人が増えるから。これはゲームに限らないけど。

 タイトルが面白そうでもくだらないゲームはいっぱいあるよ。逆にタイトルが地味な傑作もある。「薔薇はたとえどんな名前で呼ばれても甘く香る」だよ。

 「シェイクスピアの言葉でしたっけ。この文脈で使うのはちょっと違う気も」

 ワハハ。まあ聞き流して。

 「翻訳関連のお便りはこれぐらいでして・・・」

 あ、もう終わりか。もともとこれだけで4回も引っ張ったことに無理があったね。実例を挙げてもっとやりたかったんだけど。

 「尺が余っているんで、何か最近の話題でも」

 そうね。12月発売のコマンド96号に、私も実践している役に立つ話があったよ。「魁!コマンド士官学校」の46ページ。

 「モスクワ’41の演習の話ですね!参考になりましたよ!」

 いや、大事なのは本文じゃないんだ。イラストのメッケル少佐の運動だ。

 「ええ!表紙のドイツ兵にならって首を傾ける運動というやつですか?」

 そうそう。あれを冗談と捉えているようではダメだ。首のストレッチングって非常に重要だからね。私も仕事で机に向かう前にやっているでしょ。首を伸ばすと手先が温かくなる。これがやる気にもつながる。頭脳を使うウォーゲームでは非常に重要だね。

 「確かに鮫形さんは仕事の前に首を伸ばしてますけど、PGGをやる前にはやってませんよ」

 ん。言われてみるとそうだね。心がはやってついついゲームに没入してしまうからね。これからはやってみようか。

 左右に首を傾けるときは手を上から頭に軽く添える。前に傾けるときは背筋を伸ばして両手を後頭部に乗せる。上を向くときは手を使わない。最後に首を回すときはゆっくり大きく。これが鮫形流ストレッチだ。

 「やってみましょう!ゴキゴキゴキ・・・」

 あんまり無理してはいかんよ。

 「あ、でも手先、というか僕の場合は前足が温かくなってきましたよ!」

 そうでしょ。職場や家庭でも簡単にできるから、読者諸兄もやってみてくれたまえ。首を柔軟にすると発想も柔軟になるという話だね。ア、ソレ、ゴキゴキッ!
posted by 鮫形鐘一郎 at 02:03| (カテゴリなし) | 更新情報をチェックする

2010年12月14日

連帯を求めて孤立を恐れず

 「またもや変なお便りが・・・」

 私もたいていのことには驚かなくなったよ。読んでみてちょ。ぽたーじゅ君。

 「プロのミュージシャンを目指し上京して10年。バイトで何とか食いつないでいますが、未だにデビューできません。年齢も30を越えてしまい、俺ってこれでいいのかなと思い始めてます」

 ん・・・。もうちょっと聞いてみよか。

 「親からはいつまでも夢見たいなことを言っているんじゃないと言われてます。でも、まだできるんじゃないかという気がするんです。もっと本腰入れてやりたいという気持ちは募るばかりで。どうしたらいいでしょうか」

 はいはい。相分かり申した。ところで何で私に聞くのかね。

 「高校生のころ1回だけ友人とPGGをやったことがあるそうです」

 そうか・・・。なるほどね。

 「答えようがありませんよね」

 まあね。最初に、正直な感想を言おうか。

 「お願いします」

 ウォーゲームの世界はプロのプレイヤーがいなくてよかったなあ。

 「どういう意味ですか」

 もし、ウォーゲームの世界でプロのプレイヤーが活躍できて、将棋や囲碁の棋士みたいに社会的な地位もあったとする。ひょっとしたら俺も、そんなプロを目指して30過ぎまでフラフラしてたかなあ、と考えるんだよ。

 中途半端にゲームが好きで、中途半端に腕前に自信があるレベルが一番あきらめがつかないだろうから。そういう意味で、ウォーゲーム界の規模が大きくならなかったのは、私にとって幸運だったかなあ、とも思うんだよ。

 「なるほど。何か少しでもためになるアドバイスはないですか」

 音楽が好きならば、別にプロでなくてもいくらでも演奏する機会はあるよ。音楽が仕事になったら、逆につまらなくなってしまうんじゃないかな。その辺をよく考えてみたらどうだろうか。

 プロになれれば下積み生活は笑い話になる。でも、プロになれなくったって決して無駄な時間だと後悔することはない。ウォーゲーマーなんかビッグゲームのプレイでいかに無駄な時間を過ごしてきたか。

 才能が10あるやつが10の努力をして10×10=で100ぐらいにならないとプロにはなれない。だから才能が1しかない奴が10努力しても追い付けない。でもね、10の努力ができる奴は自分の才能が10出せる場所を見つければ、それでプロになれるんだよ。ここが大事だ。

 相談してくれたあなたは、ひょっとしたら10の努力ができる人じゃないかな。だとしたら、音楽以外で自分の才能を10出せる世界を見つければ、きっと成功すると思うけどね。それはそれで大変なことは間違いないけど。

 「珍しく建設的なアドバイスですね。やればできるじゃないですか」

 筆先だけで新宿にマンションを持っている人間をバカにしてはいかんよ。

 「結局いつもの嫌味な鮫形さんに戻りましたね・・・。類似のお便りがあるので続けていいでしょうか」

 もう何でもどうぞ。

 「娘が芸能人になりたいと言って聞かないんですが、どうしたらやめさせられるでしょうか」

 うーん。何で私に質問するんだろ。

 「鮫形さんと●辺●里のライブに行ったことがある人妻と書いてあります」

 ん。分かった。5年ほど会ってないけどね。

 Sさん。とにかく徹底的に反対してください。それが、娘を芸能人にさせるためにも、やめさせるためにもベストな方法です。

 「急にSさんと言われてもなあ。まあいいや。何で徹底して反対するんですか」

 簡単に言えば、本気度を試すためさ。親がどんなに反対しても、本当にやる気のある奴はやるんだよ。そして、その中から才能のある奴が成功するんだ。中途半端な気持ちでプロデビューできてしまった場合が、一番不幸なパターンなんだ。

 あ、もう分かっている人は分かっているだろうけど、最初の質問のミュージシャン希望の人。私に説得されてあきらめるようでは、残念ながら才能も情熱もないと言わざるを得ないね。

 論理立てて諭されようが、理屈抜きに「やめろ」と言われようが、それで断念するようではダメなんだ。勘違いしてもらうと困るが、人間的にダメというわけじゃないよ。その道ではダメというだけさ。

 何をやってもダメな人ってのはいないと信じている。そう思っている人は、本当にあらゆる可能性を試したかを考えてほしい。

 「うーん。何か説教くさくなってきて、よくないですね。読者はそんなこと聞きたがってませんよ。ほら、こんなお便りだってきているんですよ」

 何かね。

 「ウォーゲーマーが女の子にモテるにはどうすればいいでしょうか」

 うーむ。もう何でもありになってきたね。

 「鮫形さんに質問すること自体が間違っているように思います」

 さっき相談があったミュージシャンや芸能人はモテる。スポーツ選手もモテる。プロでなくても、「学園のヒーロー」レベルでも十分。そして金がある奴もモテる。「マメな男」もモテる。

 「共通点は何ですかね」

 何かを「してあげられる力」だと私は思うけどね。実際にその力を持っていなくても「将来何かをしてくれそうな力を感じさせる」ことが重要だ。ルックスも、単に顔立ちがよいというだけではダメでしょ。

 これは「サービス精神」とも言い換えられる。楽器が弾けるのは非常にインパクトがある「サービス」だ。小さなことをコツコツしてあげる「マメな男」の場合は説明不要だろう。

 「サービス精神って鮫形さんに一番足りないものですね」

 ワハハ。まあ、それは否定しないよ。じゃあウォーゲーマーが「してあげられる力」を発揮できる機会があるか。

 「うーん。まったくないですね」

 私もそう思うね。ウォーゲームって分からない人が見ると、まったく分からないからね。音楽やスポーツのように、まったく知らない人が見ても素直に感動したり驚いたりすることがないからねえ。

 以前にPGGをやっているのを見た女性が「一面蜂の巣みたいなゲーム盤ですね」と言われた。こちらとしては最低限「これは何の戦いですか」「どこの地図ですか」ぐらい言ってもらいたいもんだが。

 「そんなことは承知の上で、あえてアドバイスをいただきたいんですが」

 ウォーゲーム以外の何かの魅力を身につけるということかな。

 「つまりウォーゲームをやっているようでは女の子にもてない、という結論でいいでしょうか」

 その通り。だからウォーゲームっていいんだよ。外部からどうみられるかに関係なく、ウォーゲームが面白いからやりたいというウォーゲーマーが増えてくれることを切に願うよ。

 「ウォーゲーマーでもモテる人はいると思いますが」

 そういう人はウォーゲームをやってなくても多分モテる人だね。むしろゲームをやめれば、もっとモテるんじゃないの。でも売れなくなったミュージシャンや、芽が出なかったスポーツ選手はどうかな。離れる女は多いと思うよ。

 「ところで、鮫形さんが人生の中でモテた時期があるんですか」

 いい質問だね。中学生のとき、一時的にだけど私に女の子が群がるように集まった時期があったよ。

 「そういう話をしてくださいよ!」

 そのころ私はタロットカードに興味を持ってね。タロット占いをしたからじゃないんだ。根っからゲーマーの私は、トランプゲームの作戦研究を熱心にやっていてね。その延長でトランプのもとになったと言われるタロットカードに興味が出てきたんだ。

 当時からウォーゲームの分厚いルールを読んでいたから、カードの意味を覚えるのはまったく苦痛でない。だから、昼休みに女の子を相手に似非タロット占い師を始めたわけだ。これが予想以上に好評でね。他のクラスからもわんさと押しかけてきたよ。

 「すごいじゃないですか」

 楽しかったね。でも、心の底からは楽しくなかった。今も昔も、私は占いなんかまったく信じていないから。でも、世の中には信じる人が多いんだよ。特に若い女の子。私が適当にめくったタロットカードの意味を説明すると、本当に真剣に聞き入ってね。「あなたは心の中で孤独を感じてますね」とか言うと激しくうなずいたり。だいたいの人はそう思っているのにね。

 「アハハ。そうですね。結構長く続いたんですか」

 そうでもないね。しばらくして、評判を聞いた中学の番長格の男が占ってくれと列に割り込んできた。特に私は意地悪する気もなく、普通に占ったんだけど、最後の重要なカードで死神が出てね。

 タロットカードで死神ってのは実はそんなに悪いカードではない。しかも逆位置で出たから、「再生」を意味するんだよ。でも、カードの柄がおどろおどろしいからね。番長が急に青ざめて、私が意味を説明する前に「こんなのインチキだ!」って机を蹴っ飛ばして出て行っちゃってさ。それがきっかけで何となく終了。

 そこから得た教訓は、女ってのはくだらないことに興味を持つんだな、ということ。そして、女が好きなくだらないことに付き合う気持ちがあれば「餓死しない程度」には・・・。

 「何か僕も占ってもらいたくなってきました」

 やらないよ。もう全然興味ないから。強調しておくけど、占いって、基本的に何の根拠もないんだよ。ただ「占い師に見てもらうことの効用」はあると思うね。それはまた別の機会に話そう。

 「鮫形さんのゲーマーとしてのスタイルは求道的、というか禁欲的すぎるのではないでしょうか、という質問も来てます」

 私は禁欲主義者じゃなくて、むしろ快楽主義者だよ。モットーは「面白いことだけやって生きていく(できる範囲で)」だからね。

 「マルカッコがあるのは?」

 人間、ある程度労働はしないとね。単に糧を得るために稼がなきゃ、という意味だけでなく、自分1人だけでは生きられないから、社会に還元はしなきゃということでね。

 そして何よりも合理主義者だと自分では思っている。女性に関しては「連帯を求めて孤立を恐れず」で生きてきたし。

 世の中には面白いことがいっぱいある。でも人生は短い。仕事も遊びも優先順位を付けてやっていくしかないよね。当然、長い人生では優先順位に割り込んでくる面白いものもあるし、順位が突然変わることもある。私もあれほど好きだったウォーゲームを一時離れていた。

 大事なのは自分が面白いと思ったことを、自分の良心に従ってやり続けることだ。他人の評価を気にしているうちは本物ではない。

 「他人に頼ってはいけないということですか」

 そうではないよ。小事は他人に相談して、知恵を借りてどんどん解決していけばいいさ。でもね、本当に大事なことは自分で考えて、自分で決めないと。

 「それにしても、本当に鮫形さんの答って役に立たないのが多いですね。」

 それでいいんだよ。真実は自分で見つけなければならない。自分で見つけたものだけが尊い。

 このブログを読んで、鮫形がくだらないことを言っているけど、俺は俺のスタイルでウォーゲームをやっていくという人、あるいは鮫形とは正反対だけど、自分の考えで進んでいくと決心した人こそ本物だ。

 念押ししとくと、口先だけで「鮫形なんか偉そうで大したことない」と言っているようではダメさ。心の底からそう思うかどうか。自分の胸に手を当てて考えてほしい。
posted by 鮫形鐘一郎 at 01:11| (カテゴリなし) | 更新情報をチェックする

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