2010年12月14日

連帯を求めて孤立を恐れず

 「またもや変なお便りが・・・」

 私もたいていのことには驚かなくなったよ。読んでみてちょ。ぽたーじゅ君。

 「プロのミュージシャンを目指し上京して10年。バイトで何とか食いつないでいますが、未だにデビューできません。年齢も30を越えてしまい、俺ってこれでいいのかなと思い始めてます」

 ん・・・。もうちょっと聞いてみよか。

 「親からはいつまでも夢見たいなことを言っているんじゃないと言われてます。でも、まだできるんじゃないかという気がするんです。もっと本腰入れてやりたいという気持ちは募るばかりで。どうしたらいいでしょうか」

 はいはい。相分かり申した。ところで何で私に聞くのかね。

 「高校生のころ1回だけ友人とPGGをやったことがあるそうです」

 そうか・・・。なるほどね。

 「答えようがありませんよね」

 まあね。最初に、正直な感想を言おうか。

 「お願いします」

 ウォーゲームの世界はプロのプレイヤーがいなくてよかったなあ。

 「どういう意味ですか」

 もし、ウォーゲームの世界でプロのプレイヤーが活躍できて、将棋や囲碁の棋士みたいに社会的な地位もあったとする。ひょっとしたら俺も、そんなプロを目指して30過ぎまでフラフラしてたかなあ、と考えるんだよ。

 中途半端にゲームが好きで、中途半端に腕前に自信があるレベルが一番あきらめがつかないだろうから。そういう意味で、ウォーゲーム界の規模が大きくならなかったのは、私にとって幸運だったかなあ、とも思うんだよ。

 「なるほど。何か少しでもためになるアドバイスはないですか」

 音楽が好きならば、別にプロでなくてもいくらでも演奏する機会はあるよ。音楽が仕事になったら、逆につまらなくなってしまうんじゃないかな。その辺をよく考えてみたらどうだろうか。

 プロになれれば下積み生活は笑い話になる。でも、プロになれなくったって決して無駄な時間だと後悔することはない。ウォーゲーマーなんかビッグゲームのプレイでいかに無駄な時間を過ごしてきたか。

 才能が10あるやつが10の努力をして10×10=で100ぐらいにならないとプロにはなれない。だから才能が1しかない奴が10努力しても追い付けない。でもね、10の努力ができる奴は自分の才能が10出せる場所を見つければ、それでプロになれるんだよ。ここが大事だ。

 相談してくれたあなたは、ひょっとしたら10の努力ができる人じゃないかな。だとしたら、音楽以外で自分の才能を10出せる世界を見つければ、きっと成功すると思うけどね。それはそれで大変なことは間違いないけど。

 「珍しく建設的なアドバイスですね。やればできるじゃないですか」

 筆先だけで新宿にマンションを持っている人間をバカにしてはいかんよ。

 「結局いつもの嫌味な鮫形さんに戻りましたね・・・。類似のお便りがあるので続けていいでしょうか」

 もう何でもどうぞ。

 「娘が芸能人になりたいと言って聞かないんですが、どうしたらやめさせられるでしょうか」

 うーん。何で私に質問するんだろ。

 「鮫形さんと●辺●里のライブに行ったことがある人妻と書いてあります」

 ん。分かった。5年ほど会ってないけどね。

 Sさん。とにかく徹底的に反対してください。それが、娘を芸能人にさせるためにも、やめさせるためにもベストな方法です。

 「急にSさんと言われてもなあ。まあいいや。何で徹底して反対するんですか」

 簡単に言えば、本気度を試すためさ。親がどんなに反対しても、本当にやる気のある奴はやるんだよ。そして、その中から才能のある奴が成功するんだ。中途半端な気持ちでプロデビューできてしまった場合が、一番不幸なパターンなんだ。

 あ、もう分かっている人は分かっているだろうけど、最初の質問のミュージシャン希望の人。私に説得されてあきらめるようでは、残念ながら才能も情熱もないと言わざるを得ないね。

 論理立てて諭されようが、理屈抜きに「やめろ」と言われようが、それで断念するようではダメなんだ。勘違いしてもらうと困るが、人間的にダメというわけじゃないよ。その道ではダメというだけさ。

 何をやってもダメな人ってのはいないと信じている。そう思っている人は、本当にあらゆる可能性を試したかを考えてほしい。

 「うーん。何か説教くさくなってきて、よくないですね。読者はそんなこと聞きたがってませんよ。ほら、こんなお便りだってきているんですよ」

 何かね。

 「ウォーゲーマーが女の子にモテるにはどうすればいいでしょうか」

 うーむ。もう何でもありになってきたね。

 「鮫形さんに質問すること自体が間違っているように思います」

 さっき相談があったミュージシャンや芸能人はモテる。スポーツ選手もモテる。プロでなくても、「学園のヒーロー」レベルでも十分。そして金がある奴もモテる。「マメな男」もモテる。

 「共通点は何ですかね」

 何かを「してあげられる力」だと私は思うけどね。実際にその力を持っていなくても「将来何かをしてくれそうな力を感じさせる」ことが重要だ。ルックスも、単に顔立ちがよいというだけではダメでしょ。

 これは「サービス精神」とも言い換えられる。楽器が弾けるのは非常にインパクトがある「サービス」だ。小さなことをコツコツしてあげる「マメな男」の場合は説明不要だろう。

 「サービス精神って鮫形さんに一番足りないものですね」

 ワハハ。まあ、それは否定しないよ。じゃあウォーゲーマーが「してあげられる力」を発揮できる機会があるか。

 「うーん。まったくないですね」

 私もそう思うね。ウォーゲームって分からない人が見ると、まったく分からないからね。音楽やスポーツのように、まったく知らない人が見ても素直に感動したり驚いたりすることがないからねえ。

 以前にPGGをやっているのを見た女性が「一面蜂の巣みたいなゲーム盤ですね」と言われた。こちらとしては最低限「これは何の戦いですか」「どこの地図ですか」ぐらい言ってもらいたいもんだが。

 「そんなことは承知の上で、あえてアドバイスをいただきたいんですが」

 ウォーゲーム以外の何かの魅力を身につけるということかな。

 「つまりウォーゲームをやっているようでは女の子にもてない、という結論でいいでしょうか」

 その通り。だからウォーゲームっていいんだよ。外部からどうみられるかに関係なく、ウォーゲームが面白いからやりたいというウォーゲーマーが増えてくれることを切に願うよ。

 「ウォーゲーマーでもモテる人はいると思いますが」

 そういう人はウォーゲームをやってなくても多分モテる人だね。むしろゲームをやめれば、もっとモテるんじゃないの。でも売れなくなったミュージシャンや、芽が出なかったスポーツ選手はどうかな。離れる女は多いと思うよ。

 「ところで、鮫形さんが人生の中でモテた時期があるんですか」

 いい質問だね。中学生のとき、一時的にだけど私に女の子が群がるように集まった時期があったよ。

 「そういう話をしてくださいよ!」

 そのころ私はタロットカードに興味を持ってね。タロット占いをしたからじゃないんだ。根っからゲーマーの私は、トランプゲームの作戦研究を熱心にやっていてね。その延長でトランプのもとになったと言われるタロットカードに興味が出てきたんだ。

 当時からウォーゲームの分厚いルールを読んでいたから、カードの意味を覚えるのはまったく苦痛でない。だから、昼休みに女の子を相手に似非タロット占い師を始めたわけだ。これが予想以上に好評でね。他のクラスからもわんさと押しかけてきたよ。

 「すごいじゃないですか」

 楽しかったね。でも、心の底からは楽しくなかった。今も昔も、私は占いなんかまったく信じていないから。でも、世の中には信じる人が多いんだよ。特に若い女の子。私が適当にめくったタロットカードの意味を説明すると、本当に真剣に聞き入ってね。「あなたは心の中で孤独を感じてますね」とか言うと激しくうなずいたり。だいたいの人はそう思っているのにね。

 「アハハ。そうですね。結構長く続いたんですか」

 そうでもないね。しばらくして、評判を聞いた中学の番長格の男が占ってくれと列に割り込んできた。特に私は意地悪する気もなく、普通に占ったんだけど、最後の重要なカードで死神が出てね。

 タロットカードで死神ってのは実はそんなに悪いカードではない。しかも逆位置で出たから、「再生」を意味するんだよ。でも、カードの柄がおどろおどろしいからね。番長が急に青ざめて、私が意味を説明する前に「こんなのインチキだ!」って机を蹴っ飛ばして出て行っちゃってさ。それがきっかけで何となく終了。

 そこから得た教訓は、女ってのはくだらないことに興味を持つんだな、ということ。そして、女が好きなくだらないことに付き合う気持ちがあれば「餓死しない程度」には・・・。

 「何か僕も占ってもらいたくなってきました」

 やらないよ。もう全然興味ないから。強調しておくけど、占いって、基本的に何の根拠もないんだよ。ただ「占い師に見てもらうことの効用」はあると思うね。それはまた別の機会に話そう。

 「鮫形さんのゲーマーとしてのスタイルは求道的、というか禁欲的すぎるのではないでしょうか、という質問も来てます」

 私は禁欲主義者じゃなくて、むしろ快楽主義者だよ。モットーは「面白いことだけやって生きていく(できる範囲で)」だからね。

 「マルカッコがあるのは?」

 人間、ある程度労働はしないとね。単に糧を得るために稼がなきゃ、という意味だけでなく、自分1人だけでは生きられないから、社会に還元はしなきゃということでね。

 そして何よりも合理主義者だと自分では思っている。女性に関しては「連帯を求めて孤立を恐れず」で生きてきたし。

 世の中には面白いことがいっぱいある。でも人生は短い。仕事も遊びも優先順位を付けてやっていくしかないよね。当然、長い人生では優先順位に割り込んでくる面白いものもあるし、順位が突然変わることもある。私もあれほど好きだったウォーゲームを一時離れていた。

 大事なのは自分が面白いと思ったことを、自分の良心に従ってやり続けることだ。他人の評価を気にしているうちは本物ではない。

 「他人に頼ってはいけないということですか」

 そうではないよ。小事は他人に相談して、知恵を借りてどんどん解決していけばいいさ。でもね、本当に大事なことは自分で考えて、自分で決めないと。

 「それにしても、本当に鮫形さんの答って役に立たないのが多いですね。」

 それでいいんだよ。真実は自分で見つけなければならない。自分で見つけたものだけが尊い。

 このブログを読んで、鮫形がくだらないことを言っているけど、俺は俺のスタイルでウォーゲームをやっていくという人、あるいは鮫形とは正反対だけど、自分の考えで進んでいくと決心した人こそ本物だ。

 念押ししとくと、口先だけで「鮫形なんか偉そうで大したことない」と言っているようではダメさ。心の底からそう思うかどうか。自分の胸に手を当てて考えてほしい。
posted by 鮫形鐘一郎 at 01:11| (カテゴリなし) | 更新情報をチェックする

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