2010年12月12日

年収が10倍になるウォーゲーム人生

 ♪増援、増援、増援〜。ダスライヒが来たよーん。

 「またPGGのソリティアですか・・・」

 いいじゃないか、ぽたーじゅ君。面白いんだから。はいはいオーバーランでゴーン。

 「ところで最近テレビによく出る鮫間勝代って経済評論家の女性がいますよね」

 うわーengだよ。いきなりステップロスかあ。

 「聞いてます?鮫間はペンネームで本名は鮫形だって」

 しょうがないから戦線を整理して・・・はい戦闘フェイズ。

 「いつだったか、公認会計士の妹さんがいるって話してましたよね」

 よっしゃDE。機械化移動で一気に前進するよーん。

 「聞いてますか!!」

 ・・・勝代は、旧姓と嫁ぎ先の姓から一字ずつ取ってペンネームにしたんだよ。あ、離婚のときに戸籍をどうしたかは知らないけど。

 「やっぱり鮫形さんの妹なんですね!僕は大ファンなんですよ!サメマーです」

 君はウサギのくせに、あんな自慢話だらけのインチキマネーゲームみたいな本を読んでんのか!

 「何でそんなに仲悪いんですか?」

 知らんよ。向こうが俺を避けているんだから。

 「おかしいなあ。鮫間さんのホームページからメールしたら、ぜひ住所を教えてって返事がありましたよ」

 えー!教えたのか!

 「実は今日の午後2時ごろに訪ねて来るそうで・・・あ、言っちゃった」

 何てことだ・・・もう1時45分じゃないか!あー、そうだそうだ。祖師ケ谷大蔵に行く用事があったのを思い出した。じゃあ出かけるから、よろしくね。そうそう、次は第5ターンのソ連軍からだから覚えといて。

 「鮫形さん!・・・あーあ行っちゃった」

*****15分後******

 こんにちはー。お邪魔しますよー。

 「あ!本当に鮫間さんだ!わーい。わーい!」

 あなたがメールをくれたウサちゃんね!よしよし。おかげで、お兄ちゃんの居場所がようやく分かったのよ。ありがとう・・・でも予想通り、逃げたようね。

 「すいません。あっと言う間に飛び出してしまって・・・。でも、やっぱり避けているのは鮫形さんの方なんですね。何でかなあ」

 アラ!PGGじゃない。相変わらずこんなゲームをやってるのねえ。

 「えっ?鮫間さん、PGGを知っているんですか!」

 子供のころ、無理やりお兄ちゃんにルールを教え込まれたから。

 「それは災難でございました・・・」

 頭は悪くないんだから、こんなゲームの作戦研究とかしてる暇があったら投資とか金融リテラシーを上げるのに時間を使えば人生を有益に過ごせるのにねえ。特に私の本を読めば年収10倍も不可能じゃないのに。

 「おお!さっそく鮫間節が出ましたね!」

 ただ、ウォーゲーム自体は頭脳のトレーニングには悪くないと思うのよ。受身のコンピューターゲームは思考力を奪うけど、非電源系のゲームは能動的にシステム管理をしなければいけない部分も含め、脳みそを結構使うから。

 「ウォーゲームがどう頭のトレーニングに役立つのか具体的にお願いします!」

 まずは大量のルールを読み込むことが、知識を詰め込む訓練になるということ。これが役に立つのよ。特に若い頃にやることが重要。別の言い方をすれば、集中して机に向かって記憶し、目的にしたがって再現する訓練をすること。

 私は公認会計士の資格を取るため一生懸命に勉強したけど、これはウォーゲームのビッグゲームのルールを懸命に読み込む作業と同じとも言えるわね。詰め込む中身が問題じゃないのよ。勉強の基本的訓練を積むことが重要。

 後は応用がいくらでも効くから。こういう知識を詰め込む訓練を若い頃やっていないと、先々ダメになるのよ。知的な基礎体力をつくると言ったらいいかしらね。そういう訓練を積まないまま運よく希望の職に就いたとしても、それで精一杯の人って結構いるのよ。結局そういう人って、仕事では勝てないから、できる人の足を引っ張ったりするのよね。

 ウォーゲーム界でも多分いるでしょ、ゲームのルールを覚えるのが精一杯で、作戦研究までする余力がない人って。それだけならいいけど、そのうち作戦研究する人を馬鹿にしたり、難しいゲームを批判したりする人っていないかしら。

 「うーん。そこまではどうだか・・・。でも、鮫間さんはゲームに関しても手厳しいですね・・・。そうだ、せっかくだから鮫形さんに来た質問に答えてもらえますか?」

 ほかならぬウサちゃんのお願いなら何でも。

 「ありがとうございます!では、お便りを読みます。欲しいゲームを買うかどうか、なかなか決断できません」

 私に言わせれば、ゲームは経済書と同じね。高い物こそ買わないといけないのよ。5000円ぐらいなら即買わないと。一回飲みに行ったと思えば安いもんだから。そういう高額な本からしか得られない情報が必ずあるのよ。これからは情報を持っている人が、情報を持たない人から搾取する時代に入るのよ。

 「しかし、愚ゲームかもしれないものに高額なお金を支払うのは・・・」

 失われる時間の方が惜しいのよ。書籍は一番効率が良い投資。ゲームも同じでしょ。ただ、ウォーゲームの作戦研究をいくらやっても年収は増えないけどね。

 「愚ゲームでもヤフオクでプレミアが付いたりして、なかなか買えなかったりするんです」

 プレミアが付くようなものなら、愚ゲームと気付いてからまたオークションで売れば大損はしないと思うけど。

 「なるほど。では次行きます。ゲームのルールブックを読むのに時間が掛かるんですが、速読法をマスターした方がいいでしょうか」

 その答はイエスでもありノーでもあるわね。人間が速読して記憶できるのは基礎知識がある分野だけだから。例えば、PGGのルールを理解している人が、他のPGGシステムのルールブックを速読するのは多少意味がある。でもウォーゲームをやったことがない人は、PGGのルールを速読しても体系として理解できないでしょ。多分プレイできないわね。

 勘違いしている人が多いけど、速読では血肉となる知識は身に付かない。身に付けるべき知識が含まれているかどうかをチェックするのに速読が必要なのよ。だからウォーゲームのルールブックも熟読すべき場所と、読み飛ばしてもいい場所があるはず。重要なところを熟読するために、重要でないところを速読で読み飛ばすのね。という意味では速読、フォトリーディングをやってもいいかもね。

 「難解なウォーゲームのルールは速読に向いていないということですか」

 これも本と同じね。難しいのには2種類あるのよ。一つは論理がメチャクチャで理解できないもの。ウォーゲームで言えば愚ゲーム。こういうのを見破るためにルールブックの速読は有益ね。

 もう一つは、論理の積み重ねが重層的だけど、きちんと読めば理解できて、役に立つもの。これはまさに面白いと言われるウォーゲームじゃないの。ある一定の難しさを乗り越えないと本当に面白いところには到達できないのよ。

 「何か鮫形さんと似てるところもあるなあ・・・じゃあ、これは僕からの質問。ウォーゲーマーが幸せな人生を送るのに、もっとも必要なものは何ですか」

 ずばり、やる気というか好奇心をいつまでも持ち続けること。これはゲーマーに限らないけど。ウォーゲームが本当に好きで、それをやり続けられる意欲と環境があるのは間違いなく幸せな人。

 ただ、ウォーゲームをやっても年収は増えない。人生にはやっぱりサムマネーが必要よ。でも、サムマネーと言っても人の一生は長い。先を見通した投資と資産づくりをしなければ、ウォーゲームを末永く楽しめる幸せな人生は送れない、ということ。私が自分の本で書いているのと同じ結論ね。

 「僕はしょせんウサギなんで老後の心配までは」

 まあ、そうかもね・・・。ところで、PGGも久しぶりに見ると面白そうねえ。

 「さすが鮫間さん。あらゆる分野に好奇心をお持ちですねえ」

 今は第5ターンか。ソ連軍の番ね。

 「まさか?鮫間さん・・・」

 Provisional増援を出すわよ。ダイスは「5」。いいところね。ドイツ軍のInterdictionを回避できて。

 「英語の発音がカッコイイっす。ますますファンになっちゃうなあ」


*****深夜0時過ぎ*****


 いやあ祖師ケ谷大蔵のケーキ屋が物凄い行列でさ。ほら買って来たよ。

 「鮫形さんが甘いものを買って帰るなんて聞いたことありませんね!それに夜中まで行列してるケーキ屋なんかないでしょ!」

 あれ?ぽたーじゅ君、何かふくれっ面だね。

 「せっかく鮫間さんが来て夜9時ぐらいまで待ってくれてたのに、帰っちゃいましたよ」

 え?そんなに待ってたのか・・・危ない危ない。

 「何か言いましたか!」

 いやいや、あーそりゃ残念だったなあ・・・じゃあPGGは第5ターンのソ連軍から再開しようかな・・・あれ?ぽたーじゅ君がユニット動かした?

 「鮫間さんが動かしたんですよ!待ってるあいだ退屈だったから」

 あーそう言えば大昔に無理に教えたからなあ。あいつもそんなに馬鹿じゃないからルール覚えていたんだな・・・。しかし、ムーブは甘いなあ。ここが包囲されちゃうじゃない。容赦なく攻撃するよ。はいボカーン。

 「残念ながら、その手は鮫間さんが読んでましたよ」

 ふーん。でもソ連軍には突出したドイツの装甲を包囲する部隊はいないよ。

 「このスタックの下に一個だけ戦車が隠れているんですよ」

 あー!汚いぞ!歩兵3個スタックが整然と並んでいるように見せかけて1個だけ戦車を入れるなんて!

 「スタックの中身はアントライドを裏返さなければ自由に確認できるルールですから。見ない方が悪いんです。自由主義経済とはそういうもんです」

 ぽたーじゅ君!今までそんな物の言いはしなかったじゃない!

 「はい包囲して戦闘。ダイスをコロリン。退却できないので全滅です」

 くそー。装甲1個師団が・・・。

 「ウォーゲームリテラシーが低い人はPGGで勝ち残れない時代なんですよ。盤上で起こることは偶然でない。運も戦略的につかまないと」

 んむむ。ぽたーじゅ君は完全に勝代に洗脳されてしまったな・・・。
posted by 鮫形鐘一郎 at 21:08| (カテゴリなし) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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