2012年05月17日

パクリ「ウォーゲーム小説」第1回(上)

 よう。鮫形鐘一郎だ。久しぶり。昨年は忙しくて連載できなかったけど、今年は多少がんばるから。よろしく。

 「全国のウォーゲーマーの皆様、ごきげんいかがでしょうか。美人経済評論家の鮫間勝代です」

 ええい、やめい、そのカメラ目線。部屋の奥をのぞきこんでも、このマンションには何もないぞ!

 「あらあ、もう職業病ね。でもこうして都庁や西新宿のビル群を背景に話してると、何だかお兄ちゃんとニュース番組やってるみたいだわ」

 だいたい自分で美人とか言うな。

 「いつも周囲から言われるもので、ついつい。オホホ」

 何がついついだ。

 「まあまあ、そんなにカリカリしなくても。ほら、左の写真。某アーチストのライブに行ったときに仲良く撮ったじゃない」

 ああ、お前が●瀬●美ファンで、俺が●辺●里ファンなので、間を取って●リ●ムのワンダーランドに行ったときね。

 「今思うと、何がどう間を取ったのかよく分からないけど・・・ところで、今回から私がぽたーじゅ君に代わってやればいいんでしょ。読者の投稿を読んだりして」

 いや。お前とできるだけ話をしたくないから、別の趣向を用意している。

 「別の趣向?」

 いくつか企画を考えているけど、まず今回は、パクリ「ウォーゲーム小説」をやる。

 「へーえ。あえてパクリを強調するのはなぜ?」

 まあ、読んでもらったほうが早いね。というわけで早速始めるよ。

   ――――――――――――

パクリ「ウォーゲーム小説」

タイトル:「すーぷ」と「ぽたーじゅ」

 21世紀の初めごろというから、日本の元号で言えば平成のころである。東新宿鮫と名乗るウォーゲーマーがいたそうである。本業はサラリーマンで、東京の東新宿に住んでいたからそういうハンドルネームで活動していたそうだが、そんな人はいなかったらしいと言う人もある。転勤で台湾の台北に赴任したことになっているが、記録が残っていないのである。しかし彼がいなくては話が成り立たぬから、ともかくもいたことにしておくのである。

 さて東新宿鮫が転勤で台湾に着任してから3カ月になった。東京で高くてまずいメシを食っていた男が、台湾で好きな激辛料理を連日食べられるようになって上機嫌である。しかも初めて管理職になり、面倒な仕事を部下に任せられるようになって意気揚々としているのである。

 ある週末、東新宿鮫は仕事を部下に言いつけ、自分は台北のウォーゲームクラブの例会に出掛けることにした。これは東京に居たときから、台北に着いたら早速行こうと決めていたのである。

 これには因縁がある。東新宿鮫が東京で転勤の辞令を受け、任地へ旅立とうとしたころの話である。都内のウォーゲームクラブの例会で、PGGのドイツ軍をプレイしていたら、こらえられぬほどの頭痛が起った。東新宿鮫は平生から頭痛持ちだったので、かかりつけの医者の薬を飲んだりしたが、なかなか治らない。これでは旅立ちの日を延ばさなくてはなるまいかと思って頭を抑えていたところに、老齢のゲーマーが「いかがなされたか」と声を掛けた。斯界の有名人、鈴木銀一郎である。

 東新宿鮫は「ふん、大佐殿か。ゲームのことは詳しくても頭痛までは治せまい」と心の中であざけりつつも、ひょっとしたらと思い直し「実はPGGをやり始めたら頭痛がひどくなりまして・・・何かプレイと関係あるのでしょうか」と打ち明けた。

 東新宿鮫は、作戦級はそれほど好きではないが、PGGが名作という評判は聞いてプレイしてみたくなったのだ。普段はゲーム雑誌のリプレイの類いはきちんと読んだこともなく、自らソリティアで作戦研究したこともない。一方、ゲームデザイナーとして華々しく活躍して、PGGの対戦は必ず受けて立つという鈴木には何となく尊敬の念を持っている。自分の会得せぬものに対する、盲目の尊敬とでも言おうか。そこで、鈴木のアドバイスを聞いてみようと思ったわけである。

 鈴木は髪や髭がすっかり白くなったものの、頭脳と体は喜寿と迎えた頃とは思えないほど矍鑠としている。眼鏡の奥で目を細めながら鈴木は言った。「PGGをプレイして頭痛に悩んでおいでなさると。治して進ぜましょう」

 「それは助かります。実はその頭痛のために台湾への出立の日を延ばそうかと思っています」

 「台湾ですか。奇遇ですな。私もこの前まで滞在していたんですよ。旅立ちの前に頭痛はよろしくないですな」

 「どう治していただけるのでしょうか。何か薬でもご存じですか」

 「いや。四大の身を悩ます病は幻です。要するに、あなたはソ連軍の戦線が突破できなくなったから頭痛が始まったのでしょう」

 「そう言われれば、そうなんですが・・・」

 「案ずることはありません。確かにソ連軍の戦線にがっちり装甲師団が絡め取られているように見えます。が、一箇所でも突破できれば十分形勢は逆転できますよ」

 「ではどうすれば」

 「騎兵が1ユニットあれば十分です」と鈴木はにやりとした。「咒(まじない)で直して進ぜます」。

 「はあ咒をなさるのか」。東新宿鮫は少し考えたが「やっていただいた方が早いですね。一つまじなって下さい」と言った。

 鈴木はソ連軍戦線のスタックのいくつかに、大げさな身振りで手をかざし、「えいっ」と叫んだ。そしてその1つにドイツ軍の騎兵ユニット1個でオーバーランを宣言した。

 スタックの3ユニットのうち、2個がゼロ戦力で、1個が2戦力だった。騎兵は退却したが、拘束されていた独軍装甲スタックは脱出のめどが付いた。

 鈴木は次にパンツァーレアーの連隊を使って同様に別のスタックにオーバーランをかけた。今度は8戦力が3個も固まっていたが、最低比率でも1が出たのでA1となり、退却した。

 「この2スタックの中身が分かれば、順番に攻撃していくだけでしょう」

 さすがに東新宿鮫でも、この後の手順は分かった。端の装甲スタックから順番にオーバーランを始めると、ダイス目も好調で次々とソ連軍ユニットが除去される。戦闘フェイズには8戦力3個のスタックも包囲、殲滅した。

 「お頭痛は」と鈴木が問うた。

 「あ。治りました」

 東新宿鮫はこれまで頭痛がする、頭痛がすると気にしていて、どうしても治せずにいた頭痛を、オーバーランがうまくいったことに気を取られて、取り逃がしてしまったのである。

 鈴木は「そんならこれでおいとまをいたします」と言うや否や、くるりと背中を向けて、ドアの方へ歩き出した。

 東新宿鮫が呼び留めた。

 鈴木は振り返った。「何かご用で」

 「寸志のお礼がいたしたいのですが」

 「いやいや。この程度で治療代などはいただきません」

 「なるほど。それでは強いては申しますまい。ところで、台湾でウォーゲームができるところがあれば伺っておきたいのですが」

 「台湾のことなら、田村さんという方が今、台北におられるから伝えておきましょう」

 「ああ、田村さんなら私も少し面識があります。よろしくお願いいたします」と頭を下げた。「ついでながら伺いたいが、台湾には対戦して勉強になるすごいプレイヤーはおられませんかな」

 「さようございますな。ぽたーじゅというウサギがいます。実はゲーム界の普賢(ふげん)でございます。それから、すーぷと申すウサギもおります。実は文殊(もんじゅ)でございます」

 東新宿鮫はウサギがゲームをするのか疑問に思いつつも、その名前をしっかり覚えておこうと努力するように、眉をひそめた。鈴木は姿を消していた。

 こういう因縁があるので、東新宿鮫は台北のゲーム会に出かけるのである。

   ――――――――――――

 「ちょうどここで半分ぐらいかしら。鮫形さん、というかお兄ちゃん。申し訳ないけど、だいたいオチまで見えてきたわよ」

 ワハハ。さすが勝代だね。というか、別にたいしたことを言おうとしているわけじゃないからね。しょせん堂々と「パクリ」を宣言しているレベルだ。

 まあ、もう少し続けさせてくれ。

 俺に言わせれば、世の中のゲーマーには三通りあるんだよ。ただゲームを日々プレイしている人は、突き詰めて「道」というものを顧みない。とは言っても、深く考えてプレイを続けていれば、道に到達せずにはいられないだろう。しかしそうまで考えなくても、日々楽しくプレイするには何ら努力はいらない。これは全く無頓着(むとんじゃく)な人だ。

 つぎに着意して道を求める人がある。専念に道を求めて、万事をなげうつこともあれば、普通に働いていても、たえず道に志していることもある。こういう人が深くはいり込むと日々の働いていることも、ゲームの道そのものになってしまう。つづめて言えばこれは皆道を求める人である。

 この無頓着な人と、道を求める人との中間に、道というものの存在を客観的に認めていて、それに対して全く無頓着だというわけでもなく、さればと言ってみずから進んで道を求めるでもなく、自分をば道に疎遠な人だとあきらめ、別に道に親密な人がいるように思って、それを尊敬する人がある。

 尊敬はどの種類の人にもあるが、単に同じ対象を尊敬する場合を顧慮して言ってみると、道を求める人なら遅れているものが進んでいるものを尊敬することになり、ここに言う中間人物なら、自分のわからぬもの、会得することの出来ぬものを尊敬することになる。そこに盲目の尊敬が生ずる。盲目の尊敬では、たまたまそれを向ける対象が正鵠を射ていても、何にもならないんだよ。

 「もう、まんまパクリじゃない。はいはい。では、後半をどうぞ・・・え、長いから次回にする?」

 だーかーら、誰と話しているんだ!フロアにディレクターはいないし、カンペも出てないぞ!
posted by 鮫形鐘一郎 at 07:04| (カテゴリなし) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。