2012年12月31日

パクリ「ウォーゲーム小説」第2回

 よう。鮫形鐘一郎だ。

 「経済評論家の鮫間勝代です」

 予想外に年末忙しくなってもう大晦日だけど、年内にもう一回やるという約束を、できるだけ果たしたいと思ってね。5回連載は無理なんで、1回だけやるよ。

 「残り4回も構想はあるみたいなんで、お楽しみに」

 というわけで、前シリーズで一番反響があったパクリ小説の第2弾をやるよ。

 「本当にあんなのが好評だったの?」

 好評ではなく反響と言ったところで察してもらいたいがね。というわけで、今回のネタ本はこれだ。

 「いきなり見せちゃうの?」

 読者には見えないから大丈夫。

 「ああ、この本ね。知名度はイマイチかなあ。読書好きなら知っているとは思うけど」

 タイトルで元ネタが分かった人は、オチまで分かってしまうかも。

 「私が初めて読んだときは、何か黒●ヒ●シのマンガみたいな話だと思ったわ」

 アハハ。なかなか鋭い指摘だ。独特の文体が、同じ作者の別の小説では格調の高さにつながっているけど、この本だとユーモアに感じるからね。残念ながら黒●ヒ●シっぽい味は出しづらかった。

 「では、早速お読みください」

*****

PGG名人伝

 都に住む南新宿鮫という男が、天下第一のPGG名人になろうと志を立てた。おのれの師と頼たのむべき人物を物色するに、当今、鈴木銀一郎に及ぶ者があろうとは思われぬ。「誰の挑戦でも受ける」と公言している達人だ。南新宿鮫は鈴木をたずねてその門に入った。

 鈴木は、まずソ連軍のアントライドユニットを素早くひっくり返すことを学べと命じた。人差し指だけで一瞬にして3個ユニットのスタックを同時に表にできるようにできねばならぬと。南新宿鮫は家に帰り、ユニットを裏返す練習を始めた。1個だけを返すのはすぐに出来るようになった。2個を同時に返すのもこつさえつかめば難しくはなかった。3個を同時にひっくり返すのはやっかいだったが、鍛錬の末にできるようになった。

 2年の後には、人差し指と薬指で3個ユニットをつまみ、中指を使って真ん中のユニットだけ表にするという技もできるようになった。もちろん、隣接へクスのユニットは微動だにしない。ついに、ハエが乗ったスタックをそっとつまみ、真ん中のユニットを音もなくひっくり返してもハエが逃げないという境地に至り、彼はようやく自信を得て、師の鈴木にこれを告げた。

 それを聞いて鈴木がいう。ユニットを素早くひっくり返せるだけでは、まだ教えを授けるに足りぬ。次には、カウンティングを学べ。表になったソ連軍ユニットの戦力を覚えることで、残りのユニットの平均戦力が即座に分かるようになったならば、戻って我に告げるがよいと。

 南新宿鮫は再び家に戻り、ソ連軍ユニットの戦力を計算して暗算で平均値を求める訓練を始めた。やっかいなのは、いったん除去された戦力が途中で再び復活してしまうことだ。それでも3年が過ぎるころには、裏返しのユニットにゼロ戦力が何個残っているか、最大戦力がいくつかなどがすべて分かるようになり、透視能力を持っているかのように戦力を当てられるようになった。

 南新宿鮫は早速師の許に赴いてこれを報ずる。鈴木は初めて「出かしたぞ」とほめた。そうして、直ちにPGGの奥儀秘伝をあますところなく南新宿鮫に授け始めた。

 基礎訓練に5年もかけた甲斐があって南新宿鮫の腕前の上達は、驚くほど速い。

 奥儀伝授が始まってから10日の後、試みに南新宿鮫がゲーム会でPGGをプレイしたら、ドイツ軍は1ステップも失わないままスモレンスクを陥落させた。20日の後、ソ連軍をプレイしたときには、西側のマップ1枚にしかドイツ軍は進入できなかった。1カ月後に、ドイツ軍をプレイしたときには単に圧勝しただけでなく、盤上にユニットを並べて「PGG」の文字をつくった。傍で見ていた師の鈴木も思わず「よし!」と言った。

 もはや師から学び取るべきものがなくなった南新宿鮫は、ある日、ふと良からぬ考えを起した。「めくらPGG」を挑んだのである。彼がその時独りつくづくと考えるには、今やPGGをもって己に敵すべき者は、師の鈴木をおいて外にない。天下第一の名人となるためには、どうあっても鈴木を倒さねばならぬと。しかも、普通にやって勝つだけでは意味がない。自らはドイツ軍、鈴木はソ連軍を受け持ち、自らはついたての向こうで腕組みをして座り、ユニットの移動をすべて鈴木に伝えて戦うのだ。

 鈴木は自らのユニットの移動を口頭で南新宿鮫に伝える。ソ連軍のアントライドユニットをめくったときは、鈴木が枚数と戦力を伝える。南新宿鮫は頭の中でそれをすべて記憶するのだ。南新宿鮫の前にあるのは、サイコロ1個と振りつぼだけである。

 戦いが始まった。両人ともサイコロの目を自在に出せる域に達していたので、お互い「1」を出しまくり、ユニットが互いにどんどんステップロスしていく。気付いたら、盤上に1ユニットずつしか残らず、鈴木は最後に「eng」を出し、ついに盤上には両軍ともユニットがいなくなった。

 悲願を達成できないと悟った南新宿鮫の心に、成功したならば決して生じなかったに違いない慚愧の念が、この時湧き起こった。何と愚かな挑戦を師にしてしまったのかと。鈴木の方ではまた、危機を脱し得た安堵と己が技量についての満足とが、憎しみをすっかり忘れさせた。2人は互いに駈寄ると抱き合って、しばし美しい師弟愛の涙にかきくれた。

 涙にくれて相擁しながらも、再び弟子がかかる企みを抱くようなことがあっては甚だ危いと思った鈴木は、南新宿鮫に新たな目標を与えてその気を転ずるにしくはないと考えた。彼はこの危険な弟子に向って言った。

 「もはや、伝うべきほどのことはことごとく伝えた。お前がもしこれ以上この道の蘊奥を極めたいと望むならば、米国はアパラチア山脈の峻険な岩をよじのぼり、アバロンの丘の頂を極めよ。そこには駄荷贋(だにがん)老師という古今比類なき斯道の大家がおられるはず。老師の技に比べれば、我々のプレイのごときはほとんど児戯に類する。お前の師と頼むべきは、今は?甘師の外にあるまい」。

 南新宿鮫はすぐに米国に旅立った。その人の前に出ては我々の技のごとき児戯にひとしいと言った師の言葉が、彼の自尊心にこたえた。もしそれが本当だとすれば、天下第一を目指す彼の望も、まだまだ前途程遠いわけである。己が技が児戯に類するかどうか、とにもかくにも早くその人に会って腕を比べたいとあせりつつ、彼はひたすらに道を急ぐ。足裏を破りすねを傷つけ、岩を登り桟道を渡って、1カ月後に彼はようやく目指すアバロンの丘にたどりついた。

 気負い立つ南新宿鮫を迎えたのは、羊のような柔和な目をして眼鏡をかけた、しかし酷くよぼよぼの爺さんである。腰の曲っているせいもあって、白い髭を歩く時も地にひきずっている。

 相手の耳が遠いかも知れぬと、大声で南新宿鮫は来意を告げた。己が技の程を見てもらいたい旨を述べると、あせり立った彼は相手の返事をも待たず、人差し指を使い、3個ユニットのスタックの真ん中のユニットだけを表にして一番上に載せて見せた。

 一通り出来るようじゃな、と老人が穏かな微笑を含んで言う。だが、それは所詮、PGGの本質ではないと。

 ムッとした南新宿鮫を導いて、老隠者は、そこから200歩ばかり離れた絶壁の上まで連れて来る。脚下は文字通りの屏風のごとき壁立千仭、遥か真下に糸のような細さに見える渓流をちょっと覗いただけでたちまち目まいを感ずるほどの高さである。その断崖から半ば宙に乗り出した危石の上につかつかと老人は駈上り、振返って南新宿鮫に言う。どうじゃ。この石の上でPGGをプレイせぬか。今更引っ込みもならぬ。

 南新宿鮫が石を踏むと、石はかすかにグラリと揺らいだ。持参したPGGのアントライドユニットを裏返していると、ちょうど崖の端から小石が一つ転がり落ちた。その行方を目で追うた時、覚えず南新宿鮫は石上に伏した。脚はワナワナと震え、汗は流れてかかとにまで至った。老人が笑いながら手を差し伸べて彼を石から下し、自ら代ってこれに乗ると、PGGのマップを広げ、アントライドユニットを慣れた手つきで裏返し、セットアップを済ませた。ソ連軍をプレイするつもりのようだ。

 まだ動悸がおさまらず、蒼ざめた顔をしてはいたが、南新宿鮫はすぐに気が付いて言った。サイコロはどうなさる?振りつぼは?

 サイコロ?と老人は笑う。サイコロが必要なようではPGGをやったことにはならぬ、と。

 驚く南新宿鮫に老師はまったく表情を変えずこう言った。「すべてお前の好きな目が出たことにしてよい」

 それでもドイツ軍はスモレンスクに触れることすらできず敗北した。

 南新宿鮫は慄然とした。今にして初めてPGG道の深淵を覗き得た心地であった。

 9年の間、南新宿鮫はこの老名人の許に留まった。その間いかなる修業を積んだものやら、それは誰にも判らぬ。

 9年たって日本に帰って来た時、人々は南新宿鮫の顔つきの変ったのに驚いた。以前の負けず嫌いな精悍な面構えはどこかに影をひそめ、何の表情も無い、木偶のごとく愚者のごとき容貌に変っている。久しぶりに旧師の鈴木を訪ねた時、しかし、鈴木はこの顔つきを一見すると感嘆して叫んだ。これでこそ初めて天下の名人だ。我らのごとき、足下にも及ぶものでないと。

 都のゲーマーは、天下一のPGG名人となって戻って来た南新宿鮫を迎えて、やがて眼前に示されるに違いないその妙技への期待を高めた。

 ところが南新宿鮫は一向にその要望に応えようとしない。いや、ウォーゲームさえ絶えて手に取ろうとしない。渡米するときに携えて行ったPGGもどこかへ棄てて来た様子である。そのわけを尋ねた一人に答えて、南新宿鮫はものうげに言った。

 至為(しい)は為す無く、至言は言を去る。PGGの道を極めればプレイすることなしと。

 なるほどと、しごく物分かりのいい都のゲーマーはすぐに合点した。「プレイせざるPGG名人」は彼等の誇りとなった。南新宿鮫がゲームに触れなければ触れないほど、彼の無敵の評判はいよいよ喧伝された。

 様々な噂が人々の口から口へと伝わる。毎夜3時を過ぎるころ、南新宿鮫の家の屋上で何者の立てるとも知れぬサイコロの音がする。名人の内に宿るPGGの神が、名人の眠っている間に体内を脱け出し、夜を徹してソロプレイしているのだという。

 彼の家の近くに住む商人は、ある夜、南新宿鮫の家の上空で、雲に乗った南新宿鮫が珍しくも鈴木と駄荷贋の二人を相手にPGGを対戦しているのを確かに見たと言い出した。その時、3名人の振ったサイコロはそれぞれ夜空に青白い光を放っていたという。

 南新宿鮫の家に忍び入ろうとしたところ、塀に足を掛けた途端にPGGのユニットが殺気とともに森閑とした家の中から飛んできて、まともに額を打ったので、覚えず外に転落したと白状した泥棒もある。以来、邪心を抱く者共は彼の住居の100メートル四方は避けて回り道をし、賢い渡り鳥は上空を通らなくなった。

 雲と立ち込める名声のただ中に、名人南新宿鮫は次第に老いて行く。既に早くPGGを離れた彼の心は、ますます枯淡虚静の域に入っていったようである。木偶のごとき顔は更に表情を失い、語ることもまれとなり、ついには呼吸の有無さえ疑われるに至った。「既に、我と彼との別、是と非との分を知らぬ。眼は耳のごとく、耳は鼻のごとく、鼻は口のごとく思われる」というのが、老名人晩年の述懐である。

 駄荷贋師の下を辞してから40年後、南新宿鮫は静かに、誠に煙のごとく静かに世を去った。その40年の間、彼は絶えてPGGという言葉を口にすることがなかった。口にさえしなかったくらいだから、プレイすることなどあろうはずがない。もちろん、作者としてはここで老名人に掉尾の大活躍をさせて、名人の真に名人たるゆえんを明らかにしたいのは山々ながら、一方、また事実を曲げる訳には行かぬ。実際、老後の彼についてはただ無為に過ごした話ばかりで、次のような妙な話のほか、何も分からないのだから。

 その話というのは、彼の死ぬ1、2年前のことらしい。ある日老いたる南新宿鮫が知人の家に招かれて行ったところ、室内である物を見た。確かに見覚えはあるのだが、どうしてもその名前が思出せぬし、その用途も思い当らない。老人はその家の主人に尋ねた。それは何と呼ぶ物で、また何に用いるのかと。主人は、客が冗談を言っているとのみ思って、ニヤリととぼけた笑い方をした。老南新宿鮫は真剣になって再び尋ねる。それでも相手は曖昧な笑みを浮べて、客の心をはかりかねた様子である。3回目に南新宿鮫が真面目な顔をして同じ問を繰返した時、始めて主人の顔に驚愕の色が現れた。彼は客の眼をじっと見詰める。相手が冗談を言っているのでもなく、気が狂っているのでもなく、また自分が聞き違えをしているのでもないことを確かめると、彼はほとんど恐怖に近い狼狽を示して、どもりながら叫んだ。

 「ああ、名人が、――古今無双のPGG名人が、サイコロを忘れ果てられたとや? ああ、サイコロという名も、その使い途も!」

 その後当分の間、都では、画家は絵筆を隠し、ギタリストは弦を断ち、大工は金槌を手にするのを恥じたということである。

*****

 「あらあ、思ったより手堅い仕上げね」

 やっぱ伝わらなければ意味ないからね。最初は同じ作者の別の作品でやろうとして、実はできそうだったんだけど、あえてこっちにしたんだ。

 「なるほど。それにしても、PGGを題材にすると、毎回鈴木大佐との師弟譚がメーンになっちゃうわね」

 そこなんだよなあ、問題は。何をパクっても同じような話になってしまうんだよ。そこで、次回は最近地味に人気が出ているこの漫画のパクリをやろうかと・・・。

 「ええー!これをやるの!そうかあ。何かできそうな気もするけど」

 でしょ。まあ今シリーズの残り4回をやる方が先なんでね。というわけで、読者の皆様、良いお年をお迎えください。

 「来年も当ブログをよろしくお願いいたします」
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2012年08月09日

金環食に思う

 「というわけで5回連載の5回目になりましたよ。鮫形鐘一郎さん」

 ご多忙の中、鮫間勝代さんには長時間にわたり、お付き合いいただきありがとうございました。

 「何よ今さら。兄妹でこんなよそよそしい会話」

 親しき仲にも礼儀ありとか申しましてね。

 「最近はそんなに親しくもなかったけどね」

 ワハハ。まあ慰労も兼ねてシャンパンでも開けようか・・・ポン!

 「ジャカール・ブリュット・モザイク。2002年の白。なかなかいいの用意したじゃない。フルーティーな味わいでエレガントな泡立ち」

 お前は川●な●美か!

 「まあまあ。はい、お疲れ様でカンパーイ」

 チアーズ、と。ゴキュゴキュゴキュ・・・プハー。

 「ちょっと!ビールみたいな飲み方しないで!」

 最初の一杯はどうしてもこれをやらないと駄目なんだよ。

 「あ、この黒コショウ入りのフロマージュおいしいー。まさに・・・」

 俺が嫌いなマリアージュがどうこうとかのフレーズは使わないように。

 「んぐっ・・・お便りコーナー行きます」

 そんなにツイッターに来てんの?

 「私の仕事のメールにもお兄ちゃん宛のが混じってて迷惑してるわ」

 そりゃすまんね。

 「本文にウォーゲームとか変な単語があるメールは弾くようにフィルターしているから大丈夫」

 あ、そう。適当に読んでちょうだい。

 「ウォーゲームの世界は初心者に敷居が高いと思いませんか」

 必ずしも高いとは思わないけどね。

 「官僚的答弁ね」

 残念ながらウォーゲームの場合、初心者がルールをきちんと覚えて、それなりにシステムを動かせるまで時間がかかるよ。ルールブックを読んだだけでは動かし方をイメージしずらいしね。簡単な部類のゲームでも、初めての人にしてはかなりの量のルールを読まなければならない。

 「バカな人には敷居が高いだろう、とおっしゃりたいのかしら」

 ちょっと違うんだよな。コンピューターゲームではコンピューターがやってくれるようなマネジメント部分もウォーゲームではやらなきゃいけないしね。そういう部分を面倒くさがらずにやれるか、というあたりをどう感じるかが大きい気がするね。

 「質問者が言いたいのは、きちんと教えてくれるプレイヤーが少ない、ということじゃないの」

 それは、まあ、そうかな。そういう親切なプレイヤーを見つけられれば、そんなにとっつきにくい趣味ではないだろうね。でも以前に比べれば、インターネットやIT技術の普及で、各地のサークルの情報も増えてるし、通信対戦とかもできるようになっている。やる気があれば、初心者でも腕を上げていく機会はいくらでもあるんじゃないかな。

 「質問者は初心者じゃないと思うわよ。根拠ないけど。おそらく、敷居が高いために初心者が増えず、ウォーゲームが廃れてしまうのを憂慮している人なんじゃないかな」

 毎回ある愚問で嫌になってきたけど、初心者が来ないことでウォーゲーム界がダメになることはないと断言しておくよ、ウォーゲーム界がダメになるのは、今いる人間がダメになるときだけだ。

 「私が思うに、初心者向けゲームを増やせばいいんじゃないの」

 俺の感覚から言うと、初心者ゲームってのは、初めてウォーゲームをプレイした人が「これじゃあ簡単すぎて面白くない。もっと歯応えがある方が面白いんじゃないのか」と思うかどうかを確認するゲームのような気がするけどね。初心者ゲームを面白いと言ってくれたとしても、そこのレベルでとどまっている人は、すぐにプレイしなくなるような気がするよ。もっと本格的なゲームをやってみたいと思う人でなければ続かないんじゃないかな。

 「初心者ゲームを楽しんでいるのは初心者じゃないってこと?」

 俺に言わせれば、最近出ているような初心者ゲームは、なかなかプレイする時間がつくれない忙しい人がやるゲームだね。あるいは、難しいゲームや新しいシステムのゲームを覚える気力が萎えてきたベテランプレイヤーが好んでいるような気がしてならないけどね。

 「でもそういう駄目なベテランが初心者とプレイすれば丸くおさまるんじゃないの」

 そういうベテランが初心者のガイド役になっていないから、というか対戦はしているんだけど、きちんと手ほどきできていないから敷居が高いんじゃないか、と質問者は言いたいんではないかと思うけどね。

 「なるほどね」

 お前が言うように、質問者はベテランゲーマーだろう。新しい人を開拓しようと本気で考えているようにみえるベテランね。

 「本気で考えているようにみえる、って回りくどい言い方ね。つまり、実際は本気で考えてないだろうと言いたいわけ?」

 うまく表現できないけど、俺の感覚で言えば、ネズミ講の末端の人間が、新たなネズミ講の新人を集めようという心理に近いんじゃないかな。

 「そんなこと言っていいのかしら」

 ウヒャヒャ。俺の見立てが間違っているなら、ウォーゲーム界の未来は明るいよ。結構なことだ。でもね、本当にニューカマーが大量に現れたときは、今いるベテランが逆に身の置き場のない環境になるかもしれない、という可能性は認識しておいた方がいいと思うね。ネズミ講と違うってことね。

 「そんなことばかり言っているから、ますますお兄ちゃんは嫌われるのよ」

 ワハハ。この広いウォーゲーム界で、鮫形一人に嫌われても何の不自由もないと思うがね。ま、俺のように常にマイノリティに身を置き続けると分かることもある、という話だね。

 「少数派であるがゆえに正しい、という論理は証明できないと思うけど」

 そうだよ。証明できない。でも、自信はあるよ。

 「ふーん。じゃ次。鮫形さんが嫌いなタイプのウォーゲーマーは」

 何だそりゃ。そんなの聞いてどうすんだろ。ちゃんと答えようとすると、結構面倒くさいかな。

 「非ウォーゲーマーの私にも分かりやすく説明してほしいわね」

 そうね。恋愛より恋愛論が好きなタイプのゲーマーかな。

 「分かりやすい説明ありがとう。でも、だれかれ構わず口説くタイプのゲーマーの方が嫌われる気もするけど」

 いやいや。そういうタイプのゲーマーの方が恋愛論者より好感持つね。昭和のゲーマーはそういう傾向の人が多かった。自分が得意なゲームや、やりたいゲームを常に持ち歩いて、ゲーム会で暇そうな人をみつけて、簡単だからやってみましょうと誘うタイプ。で、結局は自分がやりたい放題プレイすると。

 「アハハ。何だかんだ言ってお前も楽しんだだろ、ってタイプね」

 ゲーム会に来て暇そうにしてるのは、ナンパスポットでぶらぶらしている女と同じと思っているわけね。ヘボだろうが名人だろうが、とにかく対戦相手がほしいというゲーマー。ある意味、健全な欲を持った人だよ。

 「なるほどね。真のプレイボーイはブスにも美人にも平等に声を掛ける。もてない男に限って美人ばかりを追いかける、ってことかしら」

 そういう法則がゲーマーに当てはまるかどうかは分からないけど・・・正確に言うとね、本当に恋愛を重ねた人がする恋愛論はいいんだよ。でも、そういう人ってあんまり論には行かないよね。そんな時間があれば恋愛するから。

 「要は、お兄ちゃんは、経験が少ないのに恋愛論が好きなタイプのゲーマーが嫌いということね」

 嫌いというより、人生短いからもっとゲームしたらどうなんだ、とイライラしてしまう、といった方が正確だね。「命短し恋せよ乙女」はゲーマーにとっても名言だ。

 「でもさあ、社会的常識が欠けているゲーマーとかの方が嫌でしょ」

 よっぽど変な人でない限り、プレイの力量のあるプレイヤーが好きだね。愛想よくPGGを相手してくれるヘボより、無言で鋭いムーブをする人の方が、俺は好きだよ。とは言え、奇声をあげながら鋭いムーブをする人は困るね。

 「次行きます。鮫形さんは、結婚していますか」

 ワハハ。独身だ。

 「何で結婚しないんですか」

 ・・・それは読者じゃなくて、お前の質問だな。

 「そうよ。お父さんの7回忌とお母さんの1周忌も終わってさ。肉親と言えるのは、私とお兄ちゃんの2人だけになったのよ」

 2回離婚したお前にそんなことを言われるとは思わなかったな。

 「私はまだ娘が2人いるけど、いつかは嫁いでいくだろうし」

 まあ1人はとっくにお前に愛想つかして家出してるけどな。

 「・・・」

 あー何で泣くんだよ!俺が悪いみたいじゃないか!

 「・・・ごめんなさい。私が母として至らなかっただけで・・・」

 まあ、もう大人だから心配することないけどな。話を戻して、結婚するだけなら簡単さ。問題はそれが続くかどうか。仮に結婚してもお前と同じことになっただろうなあ、という自信があるよ

 「同じ?」

 そうだ。絶対うまく行くと思って結婚したのに破綻。もう一回ちゃんとやろうとしてまた離婚。

 「私は確かにその通りだったけど、お兄ちゃんもそうなるとは限らないじゃない」

 分かるよ。お前とは違うところもあるけれど、似たところもいっぱいある。

 「やって後悔するか、やらずに後悔するか、の違い」

 まあね。やって後悔した方が人生は面白い、という考えもあるけど、

 「私が言いたいのはさ、結婚しろってことじゃなくて、このままだと私もお兄ちゃんも、資産を抱えたまま孤独死することになるわよ、ってこと。まあ、私の資産の方がお兄ちゃんの十倍以上あると思うけど」

 何か細かいとこでむかつくな。でもね、孤独死って、そんなに悪くない気もするがね。人に余計な迷惑を掛けないという意味では。

 「腐乱死体になったり白骨化して見つかったりしたら迷惑でしょ」

 そうかなあ。逆に言えば、その程度の迷惑で済むなら安い気もするけどね。俺はいつも枕元に、特殊清掃業者に払うぐらいの現金を置いて寝ているから。いつ死んでも迷惑をかけないようにね。

 「用意がいいというか、何と言うか・・・」

 ワハハ。まあ、資産を抱えたまま死ぬのも鮫形兄妹らしくていいじゃない。借金しまくって返さずに死んでしまった方が、人生をおいしく過ごせたという考え方もあるけど。

 「借金を踏み倒す方が得したのか、踏み倒される方が偉いのか」

 もちろん後者だよ。私と違う考えの人に文句を言うつもりもないけどね。

 「まあ、私も同じ意見よ」

 人生というゲームに勝利するということは、ある意味で損をするということだよ。でも損をしたからと言って、人生に勝利したことにはならない。分かるだろ。

 お金は全然ないと困るが、ある程度以上になると、人間は仕事や趣味の満足度の方が重要になるだろ。当たり前の話。お前も年収が10倍になるとかいう本を書いているけど、10倍にするゲームそのものを楽しんでいるだけで、稼いだ金を何かに使うという発想じゃないだろ。

 「ふふん。そういう側面があることは否定しないわ」

 そういう意味ではお前も立派なゲーマーだ。マネーゲーマーだ。平和な時代で、本当に戦争をしているのはお前の方かもしれんね。ウォーゲーマーよりスリルやショック、サスペンスを感じているだろ。

 「確かにリーマンショックのときは、本当にショックを受けたわね。PGGで装甲師団がAEが出るのとはレベルが違うくらいの強烈なのをね」

 何かこう、いちいち腹立つんだよなあ。

 「おやすみなさい。明日は早起きしなきゃいけないんだから」

 ああ、そうだった。寝よ、寝よ。

*****

 「というわけで、今は5月21日午前7時半ちょっと前、新宿の大ガード前交差点に来ています」

 ♪2012年の、金環食まで〜・・・さっきまでは雲の間から見えていたんだけどなあ。

 「新宿にある私の兄の高層マンションから皆既日食が見えると思って泊まりで来たら」

 ♪太陽のリングー・・・お、雲がちょっと晴れてきた。

 「部屋が東向きでないのに朝になってから気付き、結局は繁華街まで出てきたという間抜けな話」

 ♪どうしたら伝えられるー・・・おおお、金環食キター!

 「ちょっと私にも日食観測グラス貸しなさいよ。資金は半分出したんだから・・・おおー」

 しかし、不思議だね。太陽を10分以上も連続で見たのは生まれて初めてだよ。そして、今後も見ることはないだろう。日本の多くの人がそうなんじゃないかな。地球上の生命の源とも言える太陽を、そこにあると知りながら、誰もまともに見たことがない。しかも見たといっても、偏光グラスを通じてだから本物を見てはいない。そして、本当に直接見た者は目がつぶれてしまう。真理とは、神の存在とは、まさにそういうものかもしれんね。実に趣深い体験だ。

 「本当に曇りにならなくて良かったわー。日食が起きる時間は何十年も先まで正確に分かるのに、明日の天気はよくわからない、っていうところが面白いわね。科学の力はすごいけど、どこか完璧でなくて」

 さて、今回も5回分読んでくれてありがとう。私が読者諸兄に言いたいことはいつもと同じ。このブログを読んで自分の心に浮かんだ感情、気持ちと素直に向き合ってほしい、ということだ。それこそが自分の最も望むもの、あこがれるもの、恐れるもの、ねたむもの、忘れていたもの、忘れたいもの、あるいはもっと別の何か、だろうから。それを直視して、一人で掘り下げる作業を続けることこそ、ウォーゲーマーとして、さらに一歩進む道だと信じている。

 加えて言うなら、ウォーゲーム界の、そして世の中の「簡単に分かりそうもないこと」には、この金環食のように、分かる人には何十年も先まで分かることもあれば、明日の天気のように、簡単なようで実は誰も分からないことの二種類があることを知っておいてほしい。

 「いつものことだけど、何かもったいぶってるわねー。読者の皆さん、戯言にいちいち惑わされないでね。というわけで、最後は時間旅行でお別れです」

 できれば年内にもう5回やるつもり。あんまり期待せずに待っててくれ。
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2012年05月20日

サメト−−ク!第1回(下)

 「では後半戦は替え歌コーナーから。読者からの投稿を紹介します」

 何で読者投稿があるの!

 「私がツイッターでこっそり呼び掛けてたから。フォロワーが50万人もいると、リツイートされたりしてウォーゲーマーにも回るのよ」

 さすが有名人は違うね。まいった。

 「というわけで、私が投稿を読むので、お兄ちゃんがアンテナ1〜3本で答えを判定してください」

 ああ、そういうシステムなの?了解。

 「♪増援がサンタクロース」

 ちとひどいね。アンテナ1本。恋人がサンタクロース自体、俺が好きじゃない歌だし。ていうか、この映像やめてよ。不愉快だから。

 「何かトラウマがあるようですが、公平にお願いします」

 いいから。次どうぞ。

 「♪なぜこんなことー、気付かないでいたのー。探し続けたー、VP都市がそこにあるのー」

 はいはい。Anniversary。VPが高い都市の場所をよく調べず、途中まで全然関係ない方面を一生懸命攻撃しているときがあるからね。替え歌というより「ウォーゲームあるある」だね。アンテナ2本。

 「♪モスクワというその響きがー」

 だからロシア語だよ!というツッコミを待っている投稿だね。アンテナ1・5本ぐらい。緑の町に舞い降りて。♪輝く5月の草原をー。あれ、東部戦線の夏期攻勢の歌としていいかも。アンテナ2本にしとくか。

 「♪この戦車がー、最後かーもしれーないー」

 ワハハ。いいね。Sweet Dreams。♪何に負けたーのー、分からなーいこーとがー、悔しいだけー(笑)。ほとんど替え歌の必要なしだ。アンテナ3本。

 「このダンシングサンのライブ映像も最高ね」

 本当に当時は度肝を抜かれたよ。去年の●田●和のワンダーランドもすごかったけど、その四半世紀以上前に、ユーミンのライブではバックダンサーが空を飛んでたんだねえ。

 「♪傷ついたユニットさえー、置き去りにーできるソルジャー」

 なるほど。VOYAGERね。まあまあ。♪自分のためだけに生きてしまったひどい人、という風に続くのかな。アンテナ2本半。

 「♪川向こうの町からー、赤軍が来る」

 ドニエプル川だろうねえ。ハルジョオン、ヒメジョオン。♪哀しいほど紅くー。親衛もいっぱいいるねえ。

 「♪思い出すそばからー、葬るくせにー」

 うーん。おそろしい。できはいいので3本。

 「♪君を太平洋に沈めよう」

 海戦ゲーマーからの投稿かな。Broken Barricade。♪あー彼はこわさを知らないー、勝ーつことだけしかやらないー。色々と替えられる歌だね。アンテナ2本。

 「♪どうして、どうして、できるだけ、ユニット残さなかったのだろうー」

 ♪二度と補充できないならー。リフレインが叫んでいる。割とすぐに思いつく替え歌だけど、3本あげましょう。

 「♪勝利をあきらーめてー、走るー、じこーくー」

 どこに走っていくのかね(笑)。この歌もいろいろ替えられるね。♪繰り返してみるわー、一つ前の、ターンからー。

 「では次のコーナー行きます。このウォーゲームに合うユーミンの歌を教えてくださいー」

 ひょっとして、これも読者投稿?

 「その通り。私はウォーゲームをよく知らないから。来たタイトルを読むだけ。お兄ちゃんが歌ってください」

 まあムチャブリに答えろということね。お受けしましょう。

 「ムルマンスク’41」

 いきなりそんなマイナーなところを・・・♪オーロラーの舞う平原、かな。

 「Northern Lights。マイナー同士で、まあいいでしょう」

 知名度いまいち?俺はいい歌だと思うけど。ゲームについてはノーコメント。

 「じゃあ、メジャーどころ?で、日露戦争」

 簡単そうで難しい。うーん。大連慕情ぐらいしか浮かばん。

 「♪父よーあなたにー似合ったでしょー、春の大連。私の好きな歌だからオッケーとします」

 何か適当だね。

 「ベルリン総進撃」

 ♪後がないと知ってた、知ってたけど。

 「ほう。無限の中の一度。この歌の主人公をエバ・ブラウンと考えると、ちょっと面白いわね」

 ♪ハートを全部かけたー、チャーラッチャ、チャッチャラーチャ。そうね。面白い。ちなみに、この映像も貴重だ。

 「ヘルズ・ハイウェイ」

 ♪ぼくはただ夢中でー、何も見ーずー、走りぬけただけー

 「アハハ。Lost Highwayね」

 何も見ずに走り抜けても、だいたい英第30軍団、間に合わないんだよね。

 「ビクトリー・アット・シー」

 ♪カーリビアン・ナーイト!ほら、カリブ海出てくるから。

 「真夏の夜の夢?勢いでごまかそうとしてない?」

 ♪もりーあがーるリーズムー(笑)。最初のシャングリラで小●か●りさんがドラを叩いた後、コンガを連打するかっこいい場面を思い出すね。そうそう小●さんと言えば、最近のRoad Showツアーでは小芝居もやっててさあ。

 「ハリー・ポッターの奴ね(笑)・・・さすがに、ちょっと脱線気味じゃない?ネタ切れみたいだから、エンディング行きましょうか」

 えー。まだ「守ってあげたい」も「DESTINY」もやっていないよ。「14番目の月」も「カンナ8号線も」・・・。

 「ユーミンやりだすと本当にきりがないから。終わりにします。最後は、やはりノーサイド?」

 いや。時はかげろう、の方がいいね。

 「なるほど。イリュージョンとソリチュードという二つのキーワードがいかにもウォーゲーム的で、ウォーゲーマー的ね」

 ♪もっと強くー、なって君をー、むかえにゆくーよー

 「ライバルに再戦を挑む歌詞と捉えて、今回は終了ー」

 じゃあ次回予告をちらり。ミュージック・チェンジ

 「ええー!次回のテーマがもう決まっているの!」

 実はね。音だけ聞いてちょ。

 「音?」

 ♪チンチロリーン。はい、残念だけどここまで。

 「何かしら?」

 勘のいいウォーゲーマーなら分かると思うけどね。というわけで次をお楽しみに!

 「鮫形兄妹のサメト−−クでした!」
posted by 鮫形鐘一郎 at 01:00| (カテゴリなし) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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