2012年05月19日

サメト--ク!第1回(上)

 じゃあ次の新企画をやるよ。はい台本。

 「台本?」

 司会はテレビ出演慣れしている美人経済評論家の鮫間勝代さんにお願いいたします。

 「いったい何よ。お兄ちゃんにそう言われると、何か気持ち悪いわね」

 ではミュージック、スタート。

 「んんーと。これは・・・マイ・シャローナね。懐かしい」

 後は、その台本通りにやれば番組として成立するから。読んでみて。

 「番組?では表紙をめくって・・・」

 よろしくね。声張ってちょ。

 「鮫形兄妹がお送りするサメト--ク・・・って、何よこれ!」

 イェイ、イェーイ。ドンドンドンドン。パフパフー。

 「私が司会なのはいいけど、いわゆる雛壇にはお兄ちゃん1人しか座ってないわよ」

 ワハハ。大丈夫。ちゃんとできるから。次々読んでいって。

 「はいはい・・・皆さんは、何のくくりですか?」

 僕たちは、ユーミン大好きゲーマーです!

 「ええー!どうすんの?本当に」

 大丈夫だから。

 「せめて●瀬●美大好きゲーマーだったら、私もやる気になるけど」

 さすがにそれは成立しないだろ。俺も●名●檎や●辺●里じゃあできないと思って妥協しているんだから。

 「まあ、ユーミンなら何とかなるか・・・とか言っているうちにBGMがかわってるわよ」

 ♪こーんやー、とーびーだーすーのよー・・・

 「LOVE WARSね!2回目のシャングリラを見に行ったとき思い出すわ」

 ワハハ。それは前の旦那と一緒に行ったころだね。前じゃなくて最初の旦那か。

 「・・・司会、降りてもいいかしら」

 ごめん、ごめん、ごめん。失言を深くおわびいたします。

 「とりあえず、ジョエル・ロブション1回分の貸しということで」

 ええー!ランチなら何とか・・・。

 「続けましょう」

 ♪目指す帝国は遠いレーベールー

 「♪ミサイル燃えるーうーみー」

 ♪アイワナ・プレイ・ウォーゲーム

 「さりげなく替え歌入れてきたわね。しかも英語の部分で」

 ワハハ。ばれたか。

 「ウォーゲーマーは愛の戦いをするんじゃなく、戦争大好きという意味でLOVE WARSなのね。いやはや」

 そういうこと。♪何度でもーリプレイーしてー(笑)

 「♪いつの日にかー無敵よー(笑)。何だか楽しくなってきた。やっぱりユーミンいいわね」

 ワハハ。♪ゲームオーバーにはーさせなーいー

 「この部屋にはユーミンのアルバムとDVDがそろってるから、どんどん行きましょう」

 お。やはり乗ってきたね。台本めくって。

 「次は・・・このゲームにはこの歌が合うーー!のコーナーです」

 ウォーゲームをプレイするとき、どんなユーミンの歌が合うかを紹介するよ。台本読んで。

 「ウォーゲームするときにユーミンなんか聞くかしら」

 それ言うと企画自体が成り立たないから。続けて。

 「はいはい。マーケット・ガーデン作戦とか空挺部隊が登場するとき」

 ♪スーパーパラシューター、Oh yah!

 「♪とびおりるからきっとうけとめてー。そのままんまね。恋のスーパーパラシューター

 次々行きましょう。

 「空戦ゲームにあうのは」

 ♪さあイマジネーション、あなたーは傷を負った、パイロット

 「♪戦闘機は密林に砕け、赤く、燃えた・・・墜落してるわよ!」

 イントロはかっこいいんだけどなあ。SHANGRILAをめざせ、はダメか。同じ名前の米空母もあるからいいと思ったけど。よく考えたらアウトドア・サバイバルみたいな内容だもんな。

 「となると、♪空に憧れてー、かしら」

 ひこうき雲。いや、あれも死んじゃうよ。

 「そうよね。外し気味なんで次いきます。空母戦に合う曲は?」

 ♪すぐに見つけなきゃ、あなたが私に、きづくよりはやくー

 「索敵が重要ということね。♪そっとかけよるか、姿を隠かくすか、それはそのとききーめるこーとー」

 そうそう。すてきなグループとは、まさに機動部隊だね。

 「海戦つながりで、潜水艦のゲーム」

 ♪ソーダ水の中をー、貨物船が通るー

 「海を見ていた午後。ちょっとピンとこないけど」

 潜望鏡から貨物船団を狙うと、こんな感じかなあと思って。

 「なるほど。ちょっと方向を変えて冷戦のゲーム」

 ♪東側のタバコの吸がらー

 「♪電話のーわきのメモはー、イスラエルのーもじー」

 時のないホテル。トワイライト・ストラグル、ちょっと時期がずれるけどSPIES!あたりにぴったりだね。

 「3回目のシャングリラの舞台もすごかったわよねー。代々木体育館」

 でも、雰囲気としてはMiss BROADCASTも捨てがたいよね。国際ニュースが次々映し出される感じ。

 「♪せーかーいは今、てーんめーつしてる」

 THE GATES OF HEAVENツアーのDVDは今でもたまに見るけど、いかにもバブルの時期の映像で、いいねえ。

 「残酷な天使のテーゼの●橋●子さんがデビュー前でバックコーラスやってるんだけど、超かわいくて、ダンスも超かっこいいのよ。一緒に暮らそうからMiss BROADCASTに移る映像も見てほしいわ」

 マルチ画面のテレビがせりあがってきて、CNNみたいなニュースが次々流れてね。若い頃の●井●美も見れるよ(笑)。しかし、何で2人ともアニソン方面に行っちゃったんだろ。

 「CNNヘッドラインと言えば、当時私があこがれてた●口●江さんはお亡くなりになったわね・・・」

 俺は●和●とみファンだったけど。彼女も帰らぬ人となった。合掌。

 「じゃあ、次はマルチプレイヤーズゲーム」

 ♪どんな卑怯な手を使ってでも、手に入れなきゃいけないと思ったー

 「7TRUHTHS 7LIES。マルチっぽいわね」

 まさに、7人でプレイするディプロマシーのための歌だね。

 「♪天使がよそ見しているあいだにー」

 ♪悪魔がそっと、耳うちしてったー(笑)。いいね。

 「マルチプレイといえば、DUNEもあるわよ」

 砂の惑星ね。タイトルはぴったりだけど、雰囲気はちょっと違うかな。

 「戦術級ゲームなら」

 ♪DANG DANGとDANG DANG D・DANGと、弾丸をぶち込んでー。

 「これまたそのままねー。DANG DANG

 ASLとかにどうぞ。

 「只今最前線突破中、はどうかしら。いかにもって感じ」

 ♪まるでナパームみたいな、あなたの攻撃。ベトナム戦争向き?ちょっと生々しいな。

 「♪最終兵器は、アイ・ラブ・ユー!」

 そろそろ、次のコーナーにしようか。

 「天候ダイスを振るときに歌いたいーー!のコーナーです」

 皆さんご存知と思うが、ウォーゲームは天候ダイスで晴れるか雨が降るか、はたまた雪が降るかで全然違う展開になってしまう。しかもそれはダイス一振りで決まることが多い。戦闘解決時よりも気合が入るよね。そんなときにユーミンを聴きたくなるでしょ。

 「ふーん。そうかしらね」

 いいから、とにかく台本読んで。

 「はいはい。雨が降ったターンは」

 ♪こんな気持ちのまーまじゃー、どこへも行けやーしないー

 「冷たい雨、か。ユーミンの雨の歌はいっぱいあるけどね。♪雨音に気づいてー」

 12月の雨。12月に雪でないなら助かるって感じだね。

 「じゃあ、雪が降りました」

 名曲があるね。SUGAR TOWNはさよならの町

 「♪町をうーめーつーくすー大雪ー、か」

 バスも鉄道も止まってるからね。

 「♪泣き顔になったーのはーSugar Town」

 ♪白くまぶしーすぎーたせいよー。こんなの歌っているようでは投了だ。

 「嵐になれば」

 ♪さーよーなーらハーリケーン。ん。これは嵐が晴れたときに歌わないといけないか。

 「吹雪になったら、当然アレよね」

 ♪BLIZZARD Oh! BLIZZARD

 「♪包めー世界をー。ところでこの映像も懐かしいわー。若いころの鳥羽院もいいわねー」

 さすがユーミンは冬の歌が充実してるね。苗場も最近は行っていないけど・・・。

 「そう言えば、お兄ちゃんが苗場プリンスに一人で泊まるはめになったことがあったわね・・・あ!」

 ガクッ・・・やっぱ、この企画やめようかな。

 「今、ひざから崩れ落ちたわね。ごめんなさーい。さっきの意趣返しのつもりはないんだけど」

 男45、いろいろあるわ。

 「アーッハッハ。おかしー。涙出てきた。今までのこのブログで一番面白いセリフだわ。お腹痛い、痛い・・・」

 とりあえず、すきやばし次郎1回で許す。

 「じゃあ、通販生活のお取り寄せセットをお裾分けということで」

 ん。よかろう。

 「でも、ユーミンで古傷をほじくりあってる私たち兄妹って何なの」

 前向きに行こうよ。bygones。

 「おや、そのセリフはひょっとして次回以降の伏線かな」

 いちいち鋭いな。伏線にしたいけど、多分無理。

 「あ、そう。私はどっちでもいいけど・・・そして長い冬が終わるのを期待して」

 ♪はーるーよー、遠き春よー。 

 「春よ来い。いいじゃない。大団円な感じで」

 というわけで、前半は終わりだ。

 「ええー!ユーミンゲーマーでもう1回引っ張るの?」

 サメト--ク!と「-」が2本あるのは、2回やるという意味だよ。常識。
posted by 鮫形鐘一郎 at 01:00| (カテゴリなし) | 更新情報をチェックする

2012年05月18日

パクリ「ウォーゲーム小説」第1回(下)

 会場に行く前に、東新宿鮫は田村と落ち合い、台北のゲーマーの道翹(どうぎょう)なる人物を紹介された。東新宿鮫は北京語もたいしてしゃべれなかったが、道翹が日本語や英語をある程度使えるので、なんら会話に不自由はなかった。

 「よくお越しいただきました。東新宿鮫さんは日本でも活発にゲームをされている屈指のプレイヤーとお聞きしています」

 田村が大仰に伝えていたのか、お世辞なのかは分からなかったが、下にも置かぬ扱いをしてくれて、東新宿鮫は非常に気分がよくなった。

 もう昼近くになっていたので、3人でランチを食べてから会場に行くことにした。小籠包と青菜の炒め物とチャーハンがうまい店で、道翹が予約をしてくれていた。おそらく有名店であろう。

 国は違えどもウォーゲーマー同士ということで、すぐに打ち解けた。台湾でも米国製や日本製のゲームが結構プレイされていることを知り、驚いたり感心したりで話題は尽きなかった。

 食後にプーアル茶が出てきたころ、田村は所用で辞去した。東新宿鮫は出立前に鈴木銀一郎と話したことを思い出し、道翹にいろいろ尋ねてみることにした。

 「鈴木銀一郎という方が例会に来ておられませんでしたか」

 「下の名前は覚えておりませんが、鈴木さんという、お年を召した方が何回か来られていました」。道翹が答えた。「最近、お見えにならないと思ったら、日本にお帰りのようですね。

 「日本では有名デザイナーです。ゲームの腕前もなかなか」

 「ほう。あの方はゲームデザインもするのですか。それは知りませんでした」。道翹は意外そうな顔をした。おそらく鈴木は、変に有名人扱いされるのを嫌がり、田村にも口止めをしていたのだろう。それは分からぬことではない。

 「プレイヤーとしては貪欲というか、何でもする方でした」。道翹は続けた。「初めてのゲームでもルールを教えてくれと積極的にプレイされてました。でも一番やっていたのはPGGでしたね」

 「ところで、ぽたーじゅという名のウサギは例会に来ていますか」。

 道翹は不審そうに東新宿鮫の顔を見た。「よくご存じですね。だいたい例会になると出入りしてます。今日の例会にも、もう一匹のウサギのすーぷと一緒に来ていました。ご用があるなら呼び寄せましょう」

 「ははあ。すーぷも来ていましたか。それは願ってもないことです。ご紹介いただければ幸いです」

 「承知いたしました」と言って、道翹は席を立ち、勘定を済ませると例会場に向かって歩き出した。東新宿鮫が背後から問うた。「ぽたーじゅはいつごろから姿をみせるようになりましたか」

 「そんなに昔の話ではありません。あれは鈴木さんが拾ってきたウサギなんですよ。何でも近くの松林に捨てられていたとか」

 「ほう。例会ではどんなゲームをしているんですか」

 「拾われてしばらくは、他のプレイヤーのゲームを見ていたようです。そのうちにPGGのルールを覚えて、鈴木さんともプレイするようになっていました」。

 「とは言え、しょせんはウサギですよ」と道翹は続けた。「自分ではゲームを持っていないので、他のメンバーのを借りたりしてね。鈴木さんが置いていったいくつかのゲームは自分のねぐらに隠しているようです」

 鈴木がいなくなってからはエサをあげる人もなく、メンバーが新しく買ったゲームのユニットを切って整理する手伝いをしたりして、くず野菜にありついているという。東新宿鮫は同情しつつも、ウサギがそこまでウォーゲームが好きになる理由は何なのだろうと不思議に思った。

 「はあ」と言って、東新宿鮫は二足三足歩いてからさらに問うた。「すーぷというのはどんなウサギですか」

 「すーぷは昔からいるウサギで、西の方の石窟に住んでいるようです。元は誰かに飼われていたのでしょう。今は、ぽたーじゅからエサを回してもらっているので、ゲームの対戦相手をしているみたいです」

 「2匹のゲームの力量はどんなもんでしょうか」

 「まあウサギですからね。知れてますよ」。道翹は苦笑した。「とは言え、我々と違って仕事を持っているわけではないのでね。エサにありつけば、残りの時間は作戦研究に当てられるとあって、そこそこの腕前のようです。それから、エサをよくくれる人にはわざと負けるぐらいの処世術はわきまえているようです」

 「ははあ」と東新宿鮫は感心しつつ聞いた。「PGG以外もやるんですか」

 「最近はウクライナ43やパスグロをやっていますね。鈴木さんがいなくなってからは、まったく他人とプレイしないわけではないですが、2匹だけでプレイしていることが多いような気がします」

 「なるほど」と言って、東新宿鮫はついて行く。ウクライナ43やパスグロも名作という噂は聞いているが、まだプレイしたことはない。歩きながら心のうちでは、そんなことをしているぽたーじゅ、すーぷが文殊、普賢なら、鈴木銀一郎は何なのだろうなどと、思い惑っていた。

   ――――――――――――

 「はなはだむさくるしい所で」と言いつつ、道翹は会場となっているビルの一室に東新宿鮫を連れ込んだ。

 十数人の男たちが様々なゲームをプレイしていて、室内に熱気がこもっている。ダイスを振る音や、歓声、叫び声が交錯する。ゲームをせずに雑談にふけっている者もあり、日本のゲーム会とそんなに変わらないように見える。

 道翹が奧の方へ向いて、「おい、ぽたーじゅ」と呼びかけた。

 東新宿鮫がその視線をたどって、入口から一番遠い席を見ると、2匹のウサギがテーブルを挟んで対面しているのが見えた。2匹とも真っ白な毛並みのウサギだ。

 すーぷとぽたーじゅはウクライナ43をやっていた。道翹が呼びかけたとき、1匹は振り向いてにやりと笑ったが、返事はしなかった。これがぽたーじゅだと見える。もう1匹はユニットの移動に夢中で顔を上げもしない。これが、すーぷなのであろう。

 ぽたーじゅは自分の手番でないためか、パスグロのルールブックを読んでいた。ドイツ軍を担当しているすーぷは、ハリコフ西方で懸命に戦線を張っていた。

 東新宿鮫は2匹のテーブルそばに進み寄った。2匹は特に気にせず、プレイを続けている。東新宿鮫もしばらく見ていたが、何か話しかけた方がよいかと思い、「史実より戦線が進んでますかね」「ドイツ軍の方が装甲師団の運用が難しいのではないですか」などと言ってみた。

 2匹とも、東新宿鮫を無視してはいないものの、「ええ。まあ」とか適当な生返事を繰り返すだけだった。何だこのウサギは、と反感を抱きつつも、新参者の自分がきちんとあいさつしないのは、鈴木がウォーゲーム界の文殊・普賢というウサギに失礼かもしれないと思った。

 そこで東新宿鮫は深々と頭を下げ、「日本から来た東新宿鮫と申すものです。ウクライナ43も名作と聞いているので、いつかはプレイしたいと思っております。ええパスグロもやってみたいですね。対戦いただければ幸いです」とあいさつした。

 2匹は同時に東新宿鮫を見た。それから2匹で顔を見合わせて腹の底からこみ上げて来るような笑い声を出したかと思うと、一緒に会場から駆け出た。逃げしなにぽたーじゅが「銀ちゃんがしゃべったな」と言ったのが聞えた。

 驚いてあとを見送っている東新宿鮫の周囲には、台湾のゲーマーが、ぞろぞろと来てたかった。道翹は真っ青な顔をして立ちすくんでいた。

   ――――――――――――

 「お兄ちゃん。これはひどいんじゃない。色々な意味で」

 ワハハ。まあそうかもね。

 「元ネタが分からない人にはまったく分からないし、元ネタを知っている人でもゲームに置き換えて分かる人は少ないと思うわね」

 そうだろうね。変な話だけど、それを狙って書いているんだから、それでいいんだよ。だからウォーゲーマーじゃない人は納得しないだろうし、ウォーゲーマーであればなおさら納得しないだろう。

 「もっと丁寧な説明が必要なんでは」

 どうかな。これ以上言葉をつくしても、分からない人は分からないんじゃないかな。逆に、分かる人は前回だけ読んで俺の意図は分かっていると思うよ。

 「こんなことばかりやっているから、ウォーゲームが世の人に全然理解されないんじゃないの」

 何て言うのかな。ウォーゲームの魅力を分かりやすく説明するのって、難しいんだよ。適当に説明すればウソになるし、説明しないのもまたウォーゲームには魅力がないと、別のウソをつくことになるからね。あ、勘違いしてもらいなくないけど、別に俺はウォーゲームを世の中に広めようとしてこんなことを書いているんじゃないよ。

 「じゃあ、何のためよ」

 人生は思ったより短いから、ウォーゲーマーにはできるだけ無駄なことに労力を費やさずに生きてもらいたい。そのことを分かってもらいたい、ということに尽きるね。気付いたら何ら得るところなくゲーマー人生が終わっていたということにならないように。まあ、人生ってそういうもんかもしれんが。

 「ゲーマーとして道を極めてほしいということ?」

 そんなことは一言も言っていないよ。道を極める必要があるかないか、なんて学級会レベル以下の議論こそ、俺がもっともしてほしくないことだ。

 「だいたい、文殊や普賢ってところが分かりにくいのよ」

 あれ?そこはわざと親切に、文殊や普賢という言葉を元ネタから変えてないんだけどな。漠然と「知恵をつかさどる偉い仏様」でいいんじゃない。「菩薩」って正確には仏様じゃないのかな。まあ宗教的な正しい定義は私も分からないけど、その程度の認識で十分この小説の意図は理解できるはずだ。

 「ふーん。ぽたーじゅ君やすーぷ君が文殊や普賢だとしたら、ウォーゲームの世界には大勢、文殊や普賢がいらっしゃるわけね」

 ウヒャヒャヒャ。ちょっと勘違いしているけど、外部者である勝代からそういう指摘があるのは、なかなか面白いね。じゃあ最後も、パクリのセリフで締めさせてもらうよ。

 「何よ」

 実はお兄ちゃんも文殊なのだが、まだ誰も拝みに来ないのだよ。
posted by 鮫形鐘一郎 at 01:00| (カテゴリなし) | 更新情報をチェックする

2012年05月17日

パクリ「ウォーゲーム小説」第1回(上)

 よう。鮫形鐘一郎だ。久しぶり。昨年は忙しくて連載できなかったけど、今年は多少がんばるから。よろしく。

 「全国のウォーゲーマーの皆様、ごきげんいかがでしょうか。美人経済評論家の鮫間勝代です」

 ええい、やめい、そのカメラ目線。部屋の奥をのぞきこんでも、このマンションには何もないぞ!

 「あらあ、もう職業病ね。でもこうして都庁や西新宿のビル群を背景に話してると、何だかお兄ちゃんとニュース番組やってるみたいだわ」

 だいたい自分で美人とか言うな。

 「いつも周囲から言われるもので、ついつい。オホホ」

 何がついついだ。

 「まあまあ、そんなにカリカリしなくても。ほら、左の写真。某アーチストのライブに行ったときに仲良く撮ったじゃない」

 ああ、お前が●瀬●美ファンで、俺が●辺●里ファンなので、間を取って●リ●ムのワンダーランドに行ったときね。

 「今思うと、何がどう間を取ったのかよく分からないけど・・・ところで、今回から私がぽたーじゅ君に代わってやればいいんでしょ。読者の投稿を読んだりして」

 いや。お前とできるだけ話をしたくないから、別の趣向を用意している。

 「別の趣向?」

 いくつか企画を考えているけど、まず今回は、パクリ「ウォーゲーム小説」をやる。

 「へーえ。あえてパクリを強調するのはなぜ?」

 まあ、読んでもらったほうが早いね。というわけで早速始めるよ。

   ――――――――――――

パクリ「ウォーゲーム小説」

タイトル:「すーぷ」と「ぽたーじゅ」

 21世紀の初めごろというから、日本の元号で言えば平成のころである。東新宿鮫と名乗るウォーゲーマーがいたそうである。本業はサラリーマンで、東京の東新宿に住んでいたからそういうハンドルネームで活動していたそうだが、そんな人はいなかったらしいと言う人もある。転勤で台湾の台北に赴任したことになっているが、記録が残っていないのである。しかし彼がいなくては話が成り立たぬから、ともかくもいたことにしておくのである。

 さて東新宿鮫が転勤で台湾に着任してから3カ月になった。東京で高くてまずいメシを食っていた男が、台湾で好きな激辛料理を連日食べられるようになって上機嫌である。しかも初めて管理職になり、面倒な仕事を部下に任せられるようになって意気揚々としているのである。

 ある週末、東新宿鮫は仕事を部下に言いつけ、自分は台北のウォーゲームクラブの例会に出掛けることにした。これは東京に居たときから、台北に着いたら早速行こうと決めていたのである。

 これには因縁がある。東新宿鮫が東京で転勤の辞令を受け、任地へ旅立とうとしたころの話である。都内のウォーゲームクラブの例会で、PGGのドイツ軍をプレイしていたら、こらえられぬほどの頭痛が起った。東新宿鮫は平生から頭痛持ちだったので、かかりつけの医者の薬を飲んだりしたが、なかなか治らない。これでは旅立ちの日を延ばさなくてはなるまいかと思って頭を抑えていたところに、老齢のゲーマーが「いかがなされたか」と声を掛けた。斯界の有名人、鈴木銀一郎である。

 東新宿鮫は「ふん、大佐殿か。ゲームのことは詳しくても頭痛までは治せまい」と心の中であざけりつつも、ひょっとしたらと思い直し「実はPGGをやり始めたら頭痛がひどくなりまして・・・何かプレイと関係あるのでしょうか」と打ち明けた。

 東新宿鮫は、作戦級はそれほど好きではないが、PGGが名作という評判は聞いてプレイしてみたくなったのだ。普段はゲーム雑誌のリプレイの類いはきちんと読んだこともなく、自らソリティアで作戦研究したこともない。一方、ゲームデザイナーとして華々しく活躍して、PGGの対戦は必ず受けて立つという鈴木には何となく尊敬の念を持っている。自分の会得せぬものに対する、盲目の尊敬とでも言おうか。そこで、鈴木のアドバイスを聞いてみようと思ったわけである。

 鈴木は髪や髭がすっかり白くなったものの、頭脳と体は喜寿と迎えた頃とは思えないほど矍鑠としている。眼鏡の奥で目を細めながら鈴木は言った。「PGGをプレイして頭痛に悩んでおいでなさると。治して進ぜましょう」

 「それは助かります。実はその頭痛のために台湾への出立の日を延ばそうかと思っています」

 「台湾ですか。奇遇ですな。私もこの前まで滞在していたんですよ。旅立ちの前に頭痛はよろしくないですな」

 「どう治していただけるのでしょうか。何か薬でもご存じですか」

 「いや。四大の身を悩ます病は幻です。要するに、あなたはソ連軍の戦線が突破できなくなったから頭痛が始まったのでしょう」

 「そう言われれば、そうなんですが・・・」

 「案ずることはありません。確かにソ連軍の戦線にがっちり装甲師団が絡め取られているように見えます。が、一箇所でも突破できれば十分形勢は逆転できますよ」

 「ではどうすれば」

 「騎兵が1ユニットあれば十分です」と鈴木はにやりとした。「咒(まじない)で直して進ぜます」。

 「はあ咒をなさるのか」。東新宿鮫は少し考えたが「やっていただいた方が早いですね。一つまじなって下さい」と言った。

 鈴木はソ連軍戦線のスタックのいくつかに、大げさな身振りで手をかざし、「えいっ」と叫んだ。そしてその1つにドイツ軍の騎兵ユニット1個でオーバーランを宣言した。

 スタックの3ユニットのうち、2個がゼロ戦力で、1個が2戦力だった。騎兵は退却したが、拘束されていた独軍装甲スタックは脱出のめどが付いた。

 鈴木は次にパンツァーレアーの連隊を使って同様に別のスタックにオーバーランをかけた。今度は8戦力が3個も固まっていたが、最低比率でも1が出たのでA1となり、退却した。

 「この2スタックの中身が分かれば、順番に攻撃していくだけでしょう」

 さすがに東新宿鮫でも、この後の手順は分かった。端の装甲スタックから順番にオーバーランを始めると、ダイス目も好調で次々とソ連軍ユニットが除去される。戦闘フェイズには8戦力3個のスタックも包囲、殲滅した。

 「お頭痛は」と鈴木が問うた。

 「あ。治りました」

 東新宿鮫はこれまで頭痛がする、頭痛がすると気にしていて、どうしても治せずにいた頭痛を、オーバーランがうまくいったことに気を取られて、取り逃がしてしまったのである。

 鈴木は「そんならこれでおいとまをいたします」と言うや否や、くるりと背中を向けて、ドアの方へ歩き出した。

 東新宿鮫が呼び留めた。

 鈴木は振り返った。「何かご用で」

 「寸志のお礼がいたしたいのですが」

 「いやいや。この程度で治療代などはいただきません」

 「なるほど。それでは強いては申しますまい。ところで、台湾でウォーゲームができるところがあれば伺っておきたいのですが」

 「台湾のことなら、田村さんという方が今、台北におられるから伝えておきましょう」

 「ああ、田村さんなら私も少し面識があります。よろしくお願いいたします」と頭を下げた。「ついでながら伺いたいが、台湾には対戦して勉強になるすごいプレイヤーはおられませんかな」

 「さようございますな。ぽたーじゅというウサギがいます。実はゲーム界の普賢(ふげん)でございます。それから、すーぷと申すウサギもおります。実は文殊(もんじゅ)でございます」

 東新宿鮫はウサギがゲームをするのか疑問に思いつつも、その名前をしっかり覚えておこうと努力するように、眉をひそめた。鈴木は姿を消していた。

 こういう因縁があるので、東新宿鮫は台北のゲーム会に出かけるのである。

   ――――――――――――

 「ちょうどここで半分ぐらいかしら。鮫形さん、というかお兄ちゃん。申し訳ないけど、だいたいオチまで見えてきたわよ」

 ワハハ。さすが勝代だね。というか、別にたいしたことを言おうとしているわけじゃないからね。しょせん堂々と「パクリ」を宣言しているレベルだ。

 まあ、もう少し続けさせてくれ。

 俺に言わせれば、世の中のゲーマーには三通りあるんだよ。ただゲームを日々プレイしている人は、突き詰めて「道」というものを顧みない。とは言っても、深く考えてプレイを続けていれば、道に到達せずにはいられないだろう。しかしそうまで考えなくても、日々楽しくプレイするには何ら努力はいらない。これは全く無頓着(むとんじゃく)な人だ。

 つぎに着意して道を求める人がある。専念に道を求めて、万事をなげうつこともあれば、普通に働いていても、たえず道に志していることもある。こういう人が深くはいり込むと日々の働いていることも、ゲームの道そのものになってしまう。つづめて言えばこれは皆道を求める人である。

 この無頓着な人と、道を求める人との中間に、道というものの存在を客観的に認めていて、それに対して全く無頓着だというわけでもなく、さればと言ってみずから進んで道を求めるでもなく、自分をば道に疎遠な人だとあきらめ、別に道に親密な人がいるように思って、それを尊敬する人がある。

 尊敬はどの種類の人にもあるが、単に同じ対象を尊敬する場合を顧慮して言ってみると、道を求める人なら遅れているものが進んでいるものを尊敬することになり、ここに言う中間人物なら、自分のわからぬもの、会得することの出来ぬものを尊敬することになる。そこに盲目の尊敬が生ずる。盲目の尊敬では、たまたまそれを向ける対象が正鵠を射ていても、何にもならないんだよ。

 「もう、まんまパクリじゃない。はいはい。では、後半をどうぞ・・・え、長いから次回にする?」

 だーかーら、誰と話しているんだ!フロアにディレクターはいないし、カンペも出てないぞ!
posted by 鮫形鐘一郎 at 07:04| (カテゴリなし) | 更新情報をチェックする

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